/

パルコのオムニ、コロナ禍でも集客 テナントと体験価値を共創

奔流eビジネス (D4DR社長 藤元健太郎氏)

NIKKEI MJ

新型コロナウイルス危機の下でも東京を象徴するような新しい施設が相次ぎ誕生している。5日に開業したJR原宿駅前の再開発ビル「WITH HARAJUKU(ウィズ原宿)」や17日に有明地区で開業した「有明ガーデン」などだ。

コト消費の拡大で体験価値が重視されるようになり、新商業施設は体験を売り物にするよう様々な工夫を凝らしオープンを待っていた。コロナ禍によって来場制限などの制約が増え、関係者もショックだろう。改めて商業施設の価値が問われるなか、パルコの取り組みは興味深い。オムニチャネルが話題になった2014年からいち早くアプリの取り組みを始め、すでに約150万人のユーザーとコミュニーケーションしている。

全店休業で売上高が前年同月比8割減の4月でも、アプリの行動は2月と比較して26%しか落ちていない。休業期間中も食品フロアなどに限定して営業した地域密着型の店舗では、アプリで日常的に接点を持つユーザーの7割近くの人が来店・購買行動をしていた。日ごろからアプリを通じて様々な情報に接している顧客はこうした状況でも、何らかの購買行動をとることがわかったのだ。

パルコはオムニ戦略に力を入れている

商業施設にとってこれまでブランドと言えばテナントのことであり、どんなブランドをそろえるのかが腕の見せどころだった。ところがどの施設も人気のブランドをかき集めた結果、テナント構成が似たり寄ったりになった。各ブランドが電子商取引(EC)に力を入れるようになると、商業施設の必要性はますます薄れていくことになる。

人気のブランドは家賃交渉などで強気に出るし、人気がなくなれば施設側は退店を促す。これまでテナントと商業施設は、どちらかと言えば資本主義的な緊張関係にあった。ところが今回のコロナ禍では、休業中のテナント料問題も発生。多くの商業施設はテナントに対して、特別な支援に乗り出した。テナントと商業施設の共存共栄が、コロナで浮き彫りになったテーマと言えるだろう。

ふじもと・けんたろう 電気通信大情報理工卒。野村総合研究所を経て99年にフロントライン・ドット・ジェーピーを設立し社長。02年から現職

そこで、いち早くオムニ戦略に取り組んだパルコの林直孝執行役員の言葉に耳を傾けてみよう。「テナントと商業施設はお互いの顧客データを共有し、ともに仮説を作り、行動を起こしていくような新しい関係に変わっていくべきだ。そして施設側は、顧客が新しい気づきを発見できる『セレンディピティセンター』としての価値を追求していくべきだ」――という。

買いたい物が決まっている「計画購買」であればネットでも代替できる。しかし、アフターコロナでは事前に買いたい物を決めない「非計画購買」こそが商業施設の体験価値の重要な部分になる。だとすれば、パルコの林氏が指摘するように、商業施設がデジタルとリアルの両面を通じて、顧客に期待と信頼を持ってもらうブランド作りに取り組む必要がでてくる。

買い物だけでなくアートや音楽、パフォーマンスなどの体験も、リアルとデジタルの両面で体験できることが、商業施設に期待されるようになった。そこから生まれるブランド(テナント)との結びつきが、結局は顧客の求めるモノとコトにつながっていく。

[日経MJ2020年6月19日付]

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

日経MJをPC・スマホで!今なら2カ月無料

 ヒット商品の「売れる」理由を徹底リサーチ。売り場戦略から買い手の最新動向まで独自に取材。「日経MJビューアー」ならPC・スマホ・タブレットで読めます。直近30日分の紙面イメージを閲覧でき、横書きのテキストに切り替えて読むこともできます。今なら2カ月無料のキャンペーン実施中!

詳細はこちらから

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン