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「移動」「旅行」、利用上向く まずは近場でレジャー再開

読み解き 今コレ!アプリ フラーAppApeLab編集長・日影耕造氏

NIKKEI MJ

人々の生活行動や経済活動のバロメーターとなっているスマートフォンのアプリ利用データ。新型コロナウイルス危機に伴う緊急事態宣言の解除や休業要請の緩和によって、多くの人々が再びレジャーや旅行などに動き出す様子もとらえている。

フラー(千葉県柏市)が手がけるアプリ分析ツール「AppApe(アップ・エイプ)」で蓄積するデータによると、アプリ配信「グーグルプレイ」の旅行・地域カテゴリー上位50アプリで、2020年6月1~11日の平均日間利用者数(DAU)は、緊急事態宣言期間中(4月7日~5月24日)に比べ18.7%増の374万人だった。交通・レジャー関連のアプリが属する地図・ナビカテゴリーは33.6%増の173万人といずれも増加基調だ。

個別のアプリでみると、人々の移動に直結する交通案内アプリ「Yahoo!乗換案内」の6月1~11日のDAUは、緊急事態宣言期間中に比べ44.7%増加した。地図アプリ「グーグルマップ」も13.7%増だった。カーナビゲーションアプリ「Yahoo!カーナビ」は10.6%増と回復基調が鮮明だ(アプリのデータはiOSとアンドロイド合算)。

東京都は6月11日、独自の警戒警報「東京アラート」を解除。3段階ある休業要請も最も軽い「ステップ3」に移行し、人々の意識は巣ごもりから外出に向けて動き出した。ただ、要請が緩和したからといって一気に外に飛び出すのではなく、安全・安心を確認しながら行動範囲を徐々に広げる形で旅行・レジャー活動を再開しようとするマインドがデータからはうかがえる。キーワードは「ローカル志向」だ。

ヤマップ(福岡市)が手がける登山アプリ「YAMAP」の主要機能である、登山記録をユーザー同士で共有する「活動日記」のうち、6月1~7日の標高500メートル以下の低山に関する投稿件数は、前年同期に比べ実に3.1倍となった。

長距離の移動を伴うことが多い県またぎの遠征を避け、地元を中心に登山を楽しむユーザーの姿からは、ローカル志向の高まりを感じる。YAMAPの6月1~11日の平均DAUは、緊急事態宣言期間中に比べ27%増加した。

旅行予約アプリ「楽天トラベル」は、ローカル志向の旅行を安心して楽しんでもらおうとユーザーが居住する都道府県限定の旅行プランの特集ページをアプリ内に設置した。ユーザーの安全・安心を担保しながら旅行が楽しめる機運を醸成した楽天トラベルの6月1~11日の平均DAUは、緊急事態宣言期間中に比べ32.2%増となった。

豊穣(ほうじょう)な地域の観光資源を改めて掘り起こすことができれば、県またぎの移動が回復した際に地方経済が一気に活性化しそうだ。それだけに、ローカルな魅力をどれだけ再発見できるかが経済再生の鍵を握る。

ウィズ・コロナ時代の新しい生活様式の中で、感染拡大防止に努めるのは大前提だが、人々の心身を癒やす旅行やレジャーは生きる原動力になる。アプリの利用の変化を通じて「観光復興」の進捗を見守っていきたい。

[日経MJ2020年6月17日付]

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