最初のテロリスト カラコーゾフ クラウディア・ヴァーホーヴェン著
新たなる人間観 誕生の瞬間
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1866年4月4日、帝政ロシアの首都サンクトペテルブルクで一人の青年が皇帝アレクサンドル2世を狙撃した。弾は逸(そ)れ、逮捕された彼は死刑になる。青年の名はドミートリー・カラコーゾフ。革命組織「人民の意志」が組織的に「皇帝狩り」を開始する15年前だ。そのため、早すぎた暴発行為のように見なされてきたこの事件の「近代」的性質を強調して、彼を「最初のテロリスト」として位置づけるのが本書の眼目である。そ...