春秋

2020/6/10付
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時間は伸びたり縮んだりする。かのアインシュタイン博士が唱えた相対性理論である。宇宙のはるかかなたの出来事だと思うかもしれないが、東京スカイツリーの展望台でも時間が早く進む。先ごろ、東京大の科学者が自ら考案した光格子時計を使って立証してみせた。

▼この時計は世界で最も正確に時を刻む。100億年に1秒ずれるかどうかで、まさに寸分の狂いもない。高さ約450メートルの展望台では、地上階に比べて時間の進み具合に違いがでるかを測った。1日あたり10億分の4秒、早く流れていた。重力の大小で時間が変わるのは博士の予言通りだ。一定の速さで進むとは限らない。

▼時間は主観的なものでもある。昔ラジオの番組で児童文学作家のミヒャエル・エンデが「時間とは生活そのもの。そして人間の生きる生活はその人の心の中にある」と語っていた。少女モモが活躍する物語では「時間の節約」が疫病のように広がる。効率やコスパを求めて忙しく追われる現代の大人たちにもファンは多い。

▼光格子時計を持ち出すまでもなく、コロナ禍で日常の時間の伸び縮みに改めて気づいた方もいるだろう。在宅で通勤不要だと午前が長い。公私の区別がつかず曜日の感覚をなくしていませんか。店を開けても客が来ないと時計の針は進まない。最初の時の記念日からきょうでちょうど100年。時間の大切さは不変である。

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