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春秋

「愛してる 家族のために 距離をあけ」。地下鉄の駅で「コロナ対策東京かるた」なるポスターを見かけた。「でかけない 密にならない 作らない」「のんびりと おうち時間を 楽しもう」。万事こんな具合で、つまり「新しい生活様式」の念入りな呼びかけだ。

▼いささかお節介な東京都のキャンペーンなのだが、この春以来、多くの人がこういうスタイルを意識するようにはなった。ところが政府はこんど、ほとんど逆方向のキャンペーンを始めるらしい。旅行代金の半額を補助します、飲食などの費用も補いますという「Go To」事業である。予算額は1兆7千億円にのぼる。

▼このうち3千億円余が事務委託費に充てられることがわかり、批判が相次いで委託先の公募はいったん中止になった。とはいえ、事業そのものは進めるそうだ。8月には国内旅行が自由になる運びだから、業界の期待は大きいに違いない。しかし一転して、そんなブームがくるのかどうか。「新しい生活様式」はいずこへ。

▼緊急事態宣言下の4月末に成立した第1次補正予算に、この事業は含まれている。先のことは横に置き、どんと大盤振る舞いをしたのだろう。ちぐはぐなコロナ対応に、これまた人々を惑わす策が重なったというべきか。くだんのポスターに一句追加。「ウイルスは Go Toの隙 ねらってる」。いや、お節介でした。

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