故郷喪失の時代 小林敏明著 近代巡る魅力的で困難な問い

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2020/6/6付
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日本経済新聞 朝刊
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今年2月、コロナ禍が本格化する1週間前、評者は福島県の富岡駅にいた。歩いて数分の場所にある「東京電力廃炉資料館」を訪れるためである。道を隔てた斜め向かいには廃墟と化した回転すし屋があった。名前は「アトム」。内部には砕けた皿が散乱し往時を偲(しの)ぶことはできない。

本書は、この「フクシマ」を意識して書かれたものである。原発事故は人々から「故郷」を奪い去った。人間にとって故郷とは何を意味するのだろ…

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