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「今日だけオフィス」構想

SmartTimes インディゴブルー会長 柴田励司氏

リモア(リモートアクセス)が標準化すると常設のオフィスがいらない。そう思い始めた経営者が多いのではないか。決まった時刻に決まった場所に通勤するという会社勤めの"当たり前"が当たり前ではなくなる可能性がある。一部の機能を除き、同じ場所に業務を集約させておかなくても会社は回る。

1985年上智大文卒。マーサ-ジャパン社長、カルチュア・コンビニエンス・クラブの最高執行責任者(COO)などを経て、2010年インディゴブルー社長、15年から会長。

見通しが不透明なとき経営者が決行すべきことは、損益分岐点の引き下げだ。雇用に手をつけるのではなく、オフィスに手をつけてはどうか。固定費の大幅な

削減になる。ただ、1週間に一度でいいので半日から1日程度、集合してリアルに顔を合わせる機会を作った方がよい。相互に近況を報告したり、一緒に食事をしたり、雑談をする。それが仲間意識を強化し、リモアでも成果の向上につながる。

オフィスは1週間に一度の集合場所、コアタイムならぬ「コアプレイス」(私の造語だが)でよい。私が理事の1人である社団法人PHAZEが京都市で「NARU」というミーティングスペースを運営している。ここを「今日だけオフィス」として複数の企業に開放しようと計画している。

もっとも、コワーキングスペースやシェアオフィスとは考え方が異なる。これらのスペースは出自が異なる人が働く場所としてシェアしている。知らない人の中で仕事をすることになる。だが、「今日だけオフィス」は特定企業の社員、関係者しか入室しない。まさにその日はその会社のオフィスになる。30名くらいまでの組織であれば十分に収容可能だ。ちなみに京都市の中心部で30名を収容できるオフィスの月額賃料は60万円以上が相場。「今日だけオフィス」は一日5万円、半日3万円を予定しているので、賃料だけでも67%の削減となる。

新型コロナウイルスの影響で全国のホテル、貸会議室事業者は大打撃を受けた。ただ、この「今日だけオフィス」構想が広がると新たな収益源となるはずだ。宴会場を保有するホテルは「今日だけオフィス」の「オフィス」スペースの貸出事業ができる。ビジネスホテルはリモア環境で仕事をするスペースを提供できるのだ。新型コロナウイルスが収束しても、出張は激減するだろう。感染予防対策もあり、リモアでできるものは出かけて行くことはないという考えが新たな常識となるからだ。

ちなみに私が会長のインディゴブルー社は、もとより関係者全員分の席を用意していない。仕事の特性上、価値を創出するのはオフィスの外。出勤している関係者が少ない方が良いという発想に基づく。1カ月に一度全体会議を開催してお互いの近況報告をしている。まさに「今日だけオフィス」的な運営をしてきた。緊急事態宣言後、リモアを緊急避難で終わらせず、そのメリットをとりにいく。それが攻めの経営となる。

[日経産業新聞2020年6月5日付]

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