赤神諒「太陽の門」(101)

赤神諒「太陽の門」
2020/6/3付
情報元
日本経済新聞 朝刊
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その他

リックは澄んだ夜空に向かって煙を吐いた。今夜のラッキーストライクは、ふだんより苦い。

「この世にないほうが、いいものだ」

まだ微(かす)かに残る臭いでわかった。人が焼かれた臭いだ。

点々と続く奇妙な塚は、遮蔽物のない平坦(たん)地で、ドイツ製機関銃の餌食とされた民兵たちの遺体が積み上げられ、石油で焼かれた跡に違いなかった。

嫌な予感がした。

政府軍の姿はどこにも見当たらなかった。マチャード縦隊の目…

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