春秋

2020/5/27付
保存
共有
印刷
その他

かつて上方落語の人気者が、野球賭博で摘発された。刑事さんに「暴力団の資金源になっている」と説諭され、こうつぶやいたそうだ。「わし、トータルで勝ってますさかい、暴力団の資金を吸い上げているいうことですわ。表彰状もろてもええんとちゃいまっか」――

▼多くの後輩芸人が語り継ぐ伝説だ。言い訳もここまでくれば芸である。新型コロナウイルス禍のさなか。「3密」のパチンコ店に一時、客足が絶えなかった。テレビのマイクを向けられた関西のお父さんは、「自粛ムードのなか、息抜きも必要ですわ」と弁明していた。果たして気分転換なのか。依存症のようにも見えた。

▼パチンコの市場規模は20兆円。一大産業だ。射幸心をあおるギャンブルとの見方もある。だが、出玉をいったん景品に交換したうえで現金化する方式により、賭博ではなく「遊技」だというのが政府の見解だ。スッキリしない気持ちも残る。確かに戦後、庶民に親しまれてきた娯楽だ。お上のありがたい温情ということか。

▼これもお目こぼしか。きのうの衆院法務委員会。賭けマージャンで辞職した黒川弘務前東京高検検事長を訓告処分にとどめたことについて森雅子法相は、「多大な貢献があった」。質疑では「役満賞」「チップ」などの用語が飛び交い、政治漫談を見ているよう。ここはひとつ、ご本人から膝を打つような釈明が聞きたい。

保存
共有
印刷
その他

関連キーワード

電子版トップ



[PR]