環境適応強いられる時代
SmartTimes グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー 高宮慎一氏

2020/5/27付
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世界を襲うコロナ禍は、人命や経済をはじめ社会のあらゆる分野で甚大な被害を出し、多くの人がステイホーム、ワークフロムホームを強いられている。コロナ以前からITによる変革は緩やかながら始まっていたのが、コロナは急激かつ強制的に、人々の生活、消費、働き方、ビジネスのあり方に変化をもたらしている。

テクノロジー分野のスタートアップに数多く投資し、社外役員として経営を支援。支援先には、アイスタイルやナナピ、メルカリなどがある。東京大学経済学部、ハーバード大学MBA卒。

テクノロジー分野のスタートアップに数多く投資し、社外役員として経営を支援。支援先には、アイスタイルやナナピ、メルカリなどがある。東京大学経済学部、ハーバード大学MBA卒。

コロナと共生する「withコロナ」の時代は、人々が新しい環境に適応を強いられ、新しい習慣を模索する時代だ。その点、社会の変化を起点に、大きな事業機会が出現するタイミングと言える。だが、大きな環境の変化に際しても、人々の根源的なニーズは易々とは変わらない。よってビジネスモデルや価値提供の方法を外部環境に合わせて最適化すれば良いのだ。

具体的には、まずはリモート化の急速な普及が挙げられる。オンラインビデオ会議のZoomは1日の利用者数が世界で3億人を超え、日本でもオンラインビデオ商談のベルフェイスが急伸している。

また、リモートワークの浸透で働き方改革も大きく進展する。いつでも、どこからでも働けるようになり、多様な働き方が許容されるようになった。副業も増えるだろう。働き方に限らず、対面でないとダメだという固定観念が打ち破られ、人々は意外とオンラインでも価値は大きく変わらないということに気づきだしている。

例えば、ライブなどのエンターテインメントでも、有名アーティストがソーシャルメディアでのライブストリーミングや仮想現実(VR)空間で、多くのオーディエンスを集めるなど、エンターテインメントの新しい形が見えてきている。

コミュニティーにおいても、スターバックスなどのカフェチェーンやコミュニティースペースが担ってきたサードプレイス(自宅、職場以外に人々が集う場所)が、オンラインゲームやVR空間上に出現しはじめている。さらにはリアルなオペレーションが残り完全にはオンライン化しづらい業界でも、DX(デジタルトランスフォメーション)が一気に進んできている。

外食産業ではテークアウトやデリバリーに活路を求め、それに伴いフードデリバリーが急伸している。医療業界においても、時限的にではあるが初診からのオンライン診療が解禁された。契約や承認時の印鑑をオンラインで署名するクラウドサインに置き換える動きや、現金のやり取りを減らすためキャッシュレス決済の普及も大きく前進している。

ひとたびwithコロナ時代に台頭した習慣は、afterコロナ時代に根付き、beforeコロナに戻ることはない。withコロナ時代に芽生え、新しいトレンドのど真ん中を捉えた事業はafter時代に大きく飛躍し花開くだろう。

[日経産業新聞2020年5月27日付]

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