春秋

春秋
2020/5/23付
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NHKのEテレ「ココロ部!」を見る機会があった。道徳の授業向けの番組で、小学校高学年から中学生が対象である。タレントらが寸劇の中でさまざまなピンチに遭って、解決法をともに考えていく内容。ネットでも視聴でき、休校中の課題とする学校もあるらしい。

▼たった10分間の部活動だが、場面設定は多彩で中身も濃い。例えば「こまったプレゼント」と題した回には、夢かない、しゃれた洋菓子店を開いたパティシエが登場する。その店へ親友が祝いの品を持って訪れた。見れば何と手作りの巨大なテングの面。店の雰囲気と合わず、店主は扱いに困ってしまう。さあ、どうする。

▼「おくれてきた客」では「決まり」がテーマだ。最終日を迎えて閉館した絵の展覧会場に高齢の女性が現れる。荒天で列車ダイヤが乱れたといい、警備員に「見たかった」と嘆く。亡き夫との思い出の絵で、自身も死期が迫っていると告げられ、警備員は規則を貫くか、願いをかなえるべきか迷う。番組は正解を示さない。

▼答えの出にくい設問はウイルスと共生する今後の社会にも待ち受けていよう。実際、しばらくは「感染予防と経済の活性化」「監視強化か自由か」といった矛盾をはらんだ難題に向き合わされそうだ。入り乱れる利害を調整し、時に思いやりを持ち対処する。ココロ部のOB・OGである我らの選択を子どもらが見ている。

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