米著名投資家が占う「コロナ後」 人気競技がeスポーツ化
先読みウェブワールド (藤村厚夫氏)

2020/5/25付
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NIKKEI MJ

例年、この時期になると「インターネット・トレンド」という膨大なリポートが発表される。これは「インターネットの女王」とまで言われる米カリスマ投資家、メアリー・ミーカー氏が、同氏の投資会社のスタッフらとともに作成するものだ。新型コロナウイルスの猛威により今年の発表は見送られたが、かわって「コロナ後」のビジネス、消費生活などをめぐる広範囲な変化を予言する資料が発表された。

自宅のレーシング・シミュレーターで練習するプロのレーサー=AP

自宅のレーシング・シミュレーターで練習するプロのレーサー=AP

「私たちの新世界2020」と題するこのリポートでは、今回のパンデミック(世界的な大流行)に直面して、政治・行政・医療などの専門家がどう対処しているかなど興味深い分析も行っている。パンデミック後の社会については、行政サービスなども含め多くの経済活動が、消費者が自宅に居ながらにして行う「オンデマンド型社会」が加速するとしている。

このオンデマンド型社会を担う働き手として、トラック運転手、倉庫作業員、そして医療従事者への求人募集が、米国で急増するなど、経済の変化が裏づけられると指摘する。

生活に必要不可欠な活動が広くオンデマンド化する一方で、エンターテインメント分野は一歩先に動き出している。近年人気を集めるネットフリックスやアマゾン・プライムビデオに代表されるようなストリーミングは、劇場級の作品を居ながらにして楽しめるという意味で、オンデマンドそのものだ。

ふじむら・あつお 法政大経卒。アスキー系雑誌の編集長、外資系IT(情報技術)企業のマーケティング責任者を経て2000年にネットベンチャーを創業、その後の合併でアイティメディア会長。13年からスマートニュース執行役員。18年7月からフェロー。東京都出身。

ふじむら・あつお 法政大経卒。アスキー系雑誌の編集長、外資系IT(情報技術)企業のマーケティング責任者を経て2000年にネットベンチャーを創業、その後の合併でアイティメディア会長。13年からスマートニュース執行役員。18年7月からフェロー。東京都出身。

3月以降はストリーミングが、インターネットの通信帯域を圧迫して社会問題化するほど成長している。なかでも目立つのが、ゲームのライブ中継だ。主な配信プラットフォームでは、いずれも3月以降、総視聴時間を急増させている。前年同期比では倍増という勢いだ。

ミーカー氏はエンターテインメント分野のオンデマンド化として起きるのは「伝統的なスポーツのオンライン化、eスポーツ化だ」と占う。激しくぶつかり合うスポーツを好むアメリカ人にとって、人気のスポーツはフットボール、野球、バスケットボール、サッカー、アイスホッケー、そしてストックカーやインディのようなカーレースだ。そのいずれもが急激にeスポーツ化を進めている。

伝統のあるストックカーレースの「eNASCAR」もテレビ中継される人気だ。3月末に開催されたテキサスの仮想サーキットでの第2戦では、ライブ中継され、130万人が視聴した。

ストックカーレースがあるなら、F1もだ。リアルなレース開催のめどが立たない中、4月から予定されていたレース日程に合わせて公式の「F1公式バーチャルGP」が開催されている。現役レーサーがフェラーリ、マクラーレンなどのマシンに乗って参加する。

伝統的な競技で言えば「NCAA(全米カレッジバスケットボール)」もトーナメント開催を断念。かわりにオンラインのシミュレーション・トーナメントが68チームの参加で開催され、ユーチューブで中継された。勝敗はAI(人工知能)が判定するのだという。日本でも同じような流れになるだろう。

[日経MJ2020年5月25日付]

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