困難の先に輝く未来
SmartTimes セントリス・コーポレートアドバイザリー代表取締役 谷間真氏

2020/5/13付
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今、人間社会は新型コロナウイルスにより未曽有の経済的ダメージを受けているが、このコロナは歴史を大きく転換させることとなるだろう。緊急事態宣言下において、外食、交通、観光、イベントなどのコト消費産業が甚大な損害を被っている。この産業構造に大きな変化は起きるだろうが、コロナが収束すれば必ず復活してくるとみている。現実空間でのコミュニケーションや新たな体験は、人間の精神、幸せにとって必要不可欠なものだからだ。

1971年生まれ。京大卒。公認会計士。2002年にIPO支援コンサルタントとして独立。07年から上場企業の経営者を務め、11年からシンガポールでも活動。13年にIPOビジネス再開

1971年生まれ。京大卒。公認会計士。2002年にIPO支援コンサルタントとして独立。07年から上場企業の経営者を務め、11年からシンガポールでも活動。13年にIPOビジネス再開

むしろ、ポスト・コロナ時代に予想されるのはホワイトカラーのワークライフスタイルの変化だ。テレワークへの移行、オンライン飲み会など変化は急だが、コロナが後押しした動きで、もともと機は熟していたとも言える。もしも20年前にコロナが発生していたとしたら、この変化は非常に困難だっただろう。私は現在、ほぼオンラインで打ち合わせをしたり、連絡を取り合ったりしているが移動時間は減った。逆にミーティングの数は増えつつあり、生産性は向上している。

このようなワークライフスタイルのノウハウを放棄することはあり得ない。例えば、毎日オフィスに出勤するという習慣は多くの企業で消滅するだろう。テレワークでの働き方に習熟した組織が、再び一昔前に逆戻りすることは合理的ではない。また、今回の損害により、政府の財政は悪化し、企業も過去のストックが大きく目減りすることが確実だ。政府にも企業にも生産性の低いことを続けていく余裕はなくなる。

今後、オフィススペースの縮小、ミーティング、営業活動のオンライン化、印鑑の消滅など様々な現象として現れるだろう。大企業や政府などの組織に属していても生活水準の安定は崩壊することを意味し、これまでのヒエラルキーは大きく変化するだろう。

また、オフィス需要の低下、昼間人口の減少により大都市中心部の不動産価値は下落。逆に、生活コストが低く、自分らしいライフスタイルを実現できる大都市近隣の地方への移住が加速する。通勤時間が2時間程度であったとしても、週1、2回の出勤であれば苦ではない。地方には大きなビジネスチャンスが到来する。

仮想空間の拡大も見逃せない。くしくも5G時代の到来とコロナが重なった。現在、オンラインでのテレワークが普及しているが、5Gにより今後、コミュニケーション分野でのオンラインサービスが発展するだろう。

コロナにより、今後5~10年かかると予想されたパラダイムシフトが急激に早まったことは間違いない。ベンチャーには成長に向け千載一遇のチャンスが到来する。今、この困難に耐え生き延びた先にはパラダイムシフトした輝く未来が待っていそうだ。高度成長を実限させた日本が再び覚醒することを信じたい。

[日経産業新聞2020年5月13日付]

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