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変化の時こそ波に乗れ

新風シリコンバレー ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社長 ロッシェル・カップ氏

近年、多くの日本企業はベンチャー企業への投資や提携を推進するため、シリコンバレーに事務所を開いている。日本人駐在員は、カンファレンスやネットワーキングイベントに出席したり、ベンチャー企業と打ち合わせたり、毎日忙しく過ごしている。

人事管理とグローバル人材育成を専門とするコンサルタント。北九州市立大学教授。シリコンバレー流の経営を理解し、学べるようにすることに注力している。著書に「日本企業がシリコンバレーのスピードを身につける方法」

しかし、新型コロナウイルスの関係で、そんな活動が急に止まった。特にイベントはいつ再開できるか予想もつかないのが現状だ。

この状況に懸念を持つ駐在員が増えてきているようだ。あるシリコンバレー在住駐在員は「シリコンバレーにいる多くの日本人赴任者が、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)や提携開拓活動を心配している」という。「最悪の場合、親会社がシリコンバレーの活動は利益を生まないと判断し、事務所を閉める恐れがあるのではないか」(駐在員)と不安を抱く。

シリコンバレーの事務所を維持するのは確かに安くはない。現在はこれまでの活動を継続できず、先行き不透明なことばかりだ。しかし、すぐにシリコンバレーの事務所を閉めるといった反射的な対応をお勧めできない。理由は3つある。

第1に、シリコンバレーはコネで動く世界だ。変化の波はシリコンバレーで頻繁に起こる。その波にうまく乗れる企業と人が評価される。そのため、継続的にとどまることが必要だ。

ドットコムバブルがはじけた後やリーマン・ショックの直後、多くの日本企業はシリコンバレーから撤退した。撤退した企業が再び戻ろうとしても、人脈と企業の知名度を一から再構築する必要があった。もし、今回も撤退すれば、同じことを繰り返す。今までの投資と手間を捨ててしまう。

第2の理由は、シリコンバレーに投資したり、提携したりしたい日本企業にとって今は絶好のチャンスだと言えるからだ。ベンチャーキャピタルなどの投資マネーは枯渇しているため、ベンチャー企業は資金提供者を必死に探している。現金をたくさん保有する日本企業は有利な立場にある。

なお、提携などの話が行き詰まっているケースが多いなか、行動を続ける企業は良い意味で目立つ。今まで多数ある企業のなか、注目されるのを難しく感じていた日本企業にとって、今は良い機会かもしれない。

第3の理由は、従来の対面ビジネスの場が止まるなか、シリコンバレーは素早くオンライン対応に切り替えている。それをフォローできる企業にはビジネスの機会が多い。ピッチイベントはZoomなどで開催され、カンファレンスのオンライン版も登場した。

起業家兼投資家のジェイソン・カラカニス氏が「This Week in Startups」という名前で立ち上げたスラックチャンネルは、良いネットワーキングの場になっているそうだ。もちろん、ベンチャー企業名簿である「AngelList」もくまなく捜せる。「ロックダウンになったから何もできない」と考えず、ビジネスをしたい人なら、シリコンバレーが好むオンラインのツールを使って、いくらでもできることがある。

[日経産業新聞2020年5月12日付]

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