非接触に知恵絞るスーパー 買い物時間の予約サービスも
奔流eビジネス (スクラムベンチャーズ マーケティングVP 三浦茜氏)

2020/5/8付
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NIKKEI MJ

3月17日にサンフランシスコ・ベイエリアで始まった原則外出禁止の生活。1カ月以上がたち、巣ごもりにも慣れてきた。できるだけ外出したくないので、スーパーでの買い物は週1回程度におさえている。近所のスーパーは当初より厳重な体制だ。ショッピングカートやカゴは店員が丁寧に消毒し、レジ部分に透明なバリケードを設置するなど、行くたびに新しい対策を追加している。

「アップルペイ」など非接触型決済を推奨する看板

「アップルペイ」など非接触型決済を推奨する看板

先日は買い物袋の持ち込みができなくなった。それまで環境に配慮してレジ袋は有料だったが、今は無料に変わった。また電子決済サービス「アップルペイ」などの非接触型決済を推奨する看板が設置されており、あらゆる点で顧客と店員の接触を減らそうとしていることがわかる。

スーパーは入場が制限され、外でしばらく待つこともある。待つ際は6フィート(約180センチメートル)の距離を保つ必要があり、待つ人数のわりに長い行列となっている。開店直後の1時間を高齢者のみの「シニアアワー」に設定している店舗が増えてきた。

レストラン予約サイトの「オープンテーブル」はスーパーの買い物の時間を予約できるサービスをスタートした。まだ登録しているスーパーは少ないものの、入場制限のあるスーパーは行列ができているので、予約ニーズは今後増えるかもしれない。

個人経営のスーパーでは買い回りをなくすため、金額固定の福袋のようなボックスを用意しているところもある。そのスーパーの名物のパンやチーズなどを詰め合わせている。個人経営のスーパーの場合、利用者側に「スーパーを応援したい」という気持ちもあるため、商品を選べない福袋形式でもニーズがある。

レストランはデリバリーかテークアウトのみとなっている。ウーバーイーツといった食事宅配では「ノーコンタクト(非接触)オプション」を選び、家のドアの前に商品を置いてもらうことができる。サンフランシスコ市は宅配サービスに対して、レストラン側が支払う手数料を15%以下に抑える要請をした。窮地に立っているレストランへの特別措置だ。

みうら・あかね 上智大学卒。サンフランシスコ在住。米国でアーリーステージのスタートアップ投資を行うスクラム・ベンチャーズ マーケティングVP。

みうら・あかね 上智大学卒。サンフランシスコ在住。米国でアーリーステージのスタートアップ投資を行うスクラム・ベンチャーズ マーケティングVP。

テークアウトについても、混み合わないようモバイルオーダーを取り入れる店舗が増えてきた。これまでウェブサイトを持たなかったような店舗も電子商取引(EC)のプラットフォームを使い、独自のサイトを立ち上げている。余計な手数料をできる限り抑えたいというのが、レストラン側の本音だろう。

筆者の実家は山形県で漬物店を営む。できるだけ接触を減らすため、ネットや電話で注文しドライブスルーで商品を渡すオプションを用意した。ドライブスルーといっても、何か新しいシステムを作ったわけではなく、駐車場に着いたら電話してもらう即席のものだ。車社会の地方では今後、ドライブスルーによる買い物が普及するだろう。

こうして接触しない暮らしに慣れてくると、外出解禁後の「接触」は以前とは大きく様変わりしそうだ。誰が触ったかわからない現金のやりとりはほぼ無くなるだろう。誰もがちょっとした潔癖になる未来を想像しておく必要がある。

[日経MJ2020年5月8日付]

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