物作り 新興が海外開く
SmartTimes インターウォーズ社長 吉井信隆氏

2020/4/22付
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当社のエントランスに、電動バイクが飾ってある。10年前、「アップルを超えるメガベンチャーを立ち上げたい」と語った起業家が開発した製品だ。電動化の進展でバイクや自動車のつくり方が変わり、大きな資金や工場を持たないスタートアップでも生産できるようになった。

1979年リクルート(現リクルートホールディングス)入社。首都圏営業部長など経て95年にインキュベーション事業のインターウォーズを設立、社長に就く。日本ニュービジネス協議会連合会副会長。

1979年リクルート(現リクルートホールディングス)入社。首都圏営業部長など経て95年にインキュベーション事業のインターウォーズを設立、社長に就く。日本ニュービジネス協議会連合会副会長。

この電動バイクを開発したテラモーターズは、設立当初から世界への挑戦を目指したモノづくりのメガスタートアップだ。日本では数少ない起業家のグローバルな心意気に引かれ、創業時に投資させていただいた。渋谷のとあるビルの四畳半からスタートし、わずか2年で国内シェアトップの電動バイクメーカーとなった。

失敗を繰り返しながら、現在はインドを主軸に、アジア諸国に拠点を設け、電動バイクと「オートリキシャ」と呼ばれる20万円ほどの電動三輪タクシーを製造・販売している。テラモーターズには、世界で戦うビジョンに引き寄せられた経験豊かな大手企業のOB、海外を志す異色の若いメンバーが集う。その姿はまるで「梁山泊」だ。

設立時、「若者をインスパイアして世界で勝負することや、リスクに挑戦することが当たり前の日本社会の実現を目指す」旗印を掲げた。このダイバーシティーに満ちたチームは、驚くべきスピード感を持ち、圧倒的な量の仕事をこなす。

際立つのは徹底した権限委譲と、1人で複数の仕事をこなすマルチタスクだ。大手家電メーカーからテラモーターズに参加した上田晃裕氏は、2015年3月にバングラデシュへ赴任後、複数の仕事を見事にこなし、1年で10億円規模の成果を出した。アジア4カ国の統轄を兼任する現地法人の責任者を経て、今年2月に代表取締役社長に就任した。

アジアでは急激な都市化でガソリン車の交通渋滞による大気汚染が深刻化している。各地で気候変動が加速するなか、持続可能な社会に向け国と企業の責任が問われている。インド政府は2025年までに150cc以下のすべての二輪車をガソリン駆動から電動に切り替えるなど大きくかじを切っている。

テラモーターズは電動バイクのバッテリーの遠隔管理のほか、走行データを全地球測位システム(GPS)で把握するなど「IoT」を活用した「環境に優しい交通インフラの構築」を目指している。「スピードこそ最大の経営資源」と世界を駆け回るテラモーターズの起業家集団の姿は見ていてハラハラするが頼もしい。

世界は今、新型コロナウイルス感染拡大で強制的に国が分断されている。コロナ後、グローバル化を推し進める日本のモノづくりスタートアップが、かつてのソニーホンダのように海外市場を切り開けば後に続くグローバルスタートアップの道も開ける。

[日経産業新聞2020年4月22日付]

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