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任天堂が広げるゲームの可能性 遊びの枠超え新ビジネス

奔流eビジネス(アジャイルメディア・ネットワークアンバサダー 徳力基彦氏)

NIKKEI MJ

新型コロナウイルスの感染拡大で日本経済が深刻な打撃を受けるなか、数少ない成長の可能性を見せているのがゲーム業界だろう。米ツイッターによると、3月後半のツイッター上でのゲームに関する会話量は、前半に比べ7割も増えたそうだ。

「リングフィットアドベンチャー」はリング状の器具を使い、体を動かしながらゲームができる

任天堂の主力ゲーム機「ニンテンドースイッチ」は相変わらず品薄の状況が続いている。生産が追いつかず、国内の出荷を停止したことが話題になった。3月20日に発売されたスイッチ向けゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」は、3週間で300万本(パッケージ版)を販売する大ヒットとなった。

大量の敵を倒したり、1対1で対決したりといったゲームが多いなかで、どうぶつの森は無人島を開発するという一風変わった内容だ。決まったストーリーを進めるわけではないので、大人から子供まで異なる楽しみ方があり、ゲームの様子をSNSに投稿する人も多い。新型コロナを忘れて、バーチャルな世界に癒やされることがヒットにつながったようだ。

ここで改めて読者の方々に考えてほしいのが、ゲームの持つ可能性だ。

香川県で4月から「ネット・ゲーム依存症対策条例」が施行された。18歳未満の子供に対し、ゲームとスマホの利用時間を規制するよう保護者に求めるもので「ゲームは1日60分まで」という目安を盛り込んだ。もともと、スマホゲームの有料くじ引き「ガチャ」を問題視した議論が、いつの間にかゲーム全般を対象にして規制する条例になったようだ。

年配の県議会議員のようにゲームにあまり親しみのない世代からすると「ゲームは子どもにとって害しかない存在」と考える人が少なくないことは想像できる。スマホゲームを中毒的にやり続けてしまう子どもが増えたことで、ゲームを一律に規制すべきものと捉えられてしまった。

とくりき・もとひこ 名大法卒。NTTを経て06年アジャイルメディア・ネットワーク設立に参画、09年社長。19年7月からはアンバサダープログラムの啓発活動とnoteプロデューサーとしての活動に従事。

だが、年配の人が子供の頃に楽しんだであろう、将棋や囲碁、トランプなども広い意味では「ゲーム」のはずだ。任天堂のソフトをみれば、テレビゲームと一言で定義できるものではない広がりをみせているのは明らか。昨年から品薄が続いている「リングフィットアドベンチャー」というフィットネスゲームはその象徴と言える。

このゲームは文字通り「リング」を使うことで、大人でも負荷の高い運動ができる。ゲームとして楽しむことで、運動が苦手な人でも、長く続けることができ、在宅ワークによる運動不足の解消にも一役買ってくれるのだ。

マーケティングの世界で一時期「ゲーミフィケーション」という言葉が注目された。これはゲームの持つ遊びや競争などの要素を、ゲーム以外の分野のサービスやシステムに適用することで、利用者のやる気や満足度を高める手法だ。ゲーム的な要素を盛り込むことで苦手な作業や、退屈な単純作業も楽しむ余地が生まれる。

効率化や生産性が重視されるビジネスの世界と、ゲームという遊びの世界は全く違うと考えずに、ビジネスにいかにゲーム的要素を組み込むことができるか。ゲームをしながら考えてみよう。

[日経MJ2020年4月17日付]

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