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サブスクジムに学ぶ有事対応 有料ライブ配信、愛着深まる

奔流eビジネス (スクラムベンチャーズ マーケティングVP 三浦茜氏)

NIKKEI MJ

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、私が住むサンフランシスコ・ベイエリアは3月17日から原則、外出禁止となった。6フィート(約180センチ)の距離を保てば、外でエクササイズはできるが、屋内のジムは難しい。私が利用するサブスクリプション型のジム、ClassPass(クラスパス)も影響を受けている。

クラスパスはオンラインで通常通り予約が必要なクラスを用意した

クラスパスはジムをまたいで利用できるのが特徴だ。世界30カ国で約3万のスタジオと提携。今日はあっちのジムでヨガ、明日はこっちでズンバという具合に選べる。

料金体系も柔軟で、毎月一定数のクレジットを購入するサブスクリプションモデルをとっている。クラスは需給に応じてクレジット数が変化する。私は月49ドルのサブスクで、毎月27クレジットが付いてくるコースを契約。よく行くスタジオのクラスは1回当たり5~8クレジットで、すいている時間に行けば低クレジットで受けられる。

こうしたシステムが気に入って、託児施設が付いているスタジオを中心に週1、2回のペースで利用していた。しかし新型コロナの問題が発生し、退会すべきか検討していたところ、外出禁止令の3日前、3月14日にクラスパスからメールがきた。

メールを開くとそこには休止ボタンがあり、退会ではなく休止を促してきた。休止中でもオンラインクラス(録画)は無料で受けられるという。そこで退会を思いとどまった。

クラスパスの迅速な対応はさらに続く。外出禁止を受けて、今度はバーチャルクラス(ライブ配信)の機能も付加したのだ。実はこの機能、以前一度公開しており、いったんは中止した。おそらく収益化が難しいと判断されたのだろう。だがこうした事態を受け再開したようだ。

みうら・あかね 上智大学卒。サンフランシスコ在住。米国でアーリーステージのスタートアップ投資を行うスクラム・ベンチャーズ マーケティングVP。

通常のオンラインクラスは好きなタイミングで再生できるがバーチャルクラスはライブ配信だ。普段のジムのクラスに行くように、前もって予約し、時間になったら参加する必要がある。予約時にクレジットを使うので有料だ。無料のオンラインクラスがたくさんあるなか、あえてバーチャルクラスを選ぶ理由があるだろうか。少し戸惑いながら参加してみた。

ところが、これがなかなか良かった。まず普通のオンラインクラスはやろうと思ってもなかなかやらない。バーチャルは時間が決まっているので、強制的に体を動かす必要がある。私のクラスにはなんと20人も参加していた。いつもスタジオで見かける人もいた。外出禁止で人とのコミュニケーションが限られている環境では、画面越しでも会えるのがうれしかった。

通っているスタジオに直接寄付できる機能も追加された。5~500ドルまで寄付でき、クラスパスが手数料を取ることはない。プラットフォームビジネスのクラスパスにとって、提携ジム・スタジオは重要なパートナー。ジムやヘルスケア業界をサポートするよう、各国行政機関に働きかける署名活動も始めた。

当初は退会を検討したものの、一連の流れを経てむしろ愛着が深まった。有事の時に企業が顧客に向き合ってどう発信し、どう対応するか。その重要さを改めて感じた。

[日経MJ2020年4月10日付]

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