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自分がギブできること

新風シリコンバレー WiLパートナー 小松原威氏

シリコンバレーでもShelter in placeと呼ばれる外出禁止令が出てから、3月末時点で2週間近くがたった。街から人が消えたことにより、レストランをはじめとする飲食業やフリーランサーのビジネスが窮地に陥っている。それぞれが我慢を強いられているなか、コミュニティーを大切にするシリコンバレーでは、個人レベルでも様々な助け合いの活動が増えている。

日立製作所を経て2008年にSAPジャパンに入社。15年よりシリコンバレーにあるSAP Labsに赴任、日本企業の変革・イノベーションを支援。18年2月にスタートアップ支援のWiLのパートナーに

医療従事者向けマスクの寄付や、学生・高齢者・ホームレス向けなど様々な募金が積極的に行われている。レストランは開店できない状況の中、最低限の人員で急きょテークアウトやフードデリバリーのみ対応し、なんとか事業を続けている。行きつけのレストランを救うために、友人たちに呼びかけて今こそ積極的にそのレストランのメニューを注文する人も多い。

そんな中、サンフランシスコのButter&というベーカリーが「自宅待機メッセージケーキ」という面白い取り組みを始めた。ケーキに"Wash your hands"や"Don't touch your face"のようなクリームで書かれたメッセージをのせ、離れた家族や友人に向けてデリバリーを注文することで、一緒に食べることはできないが、孤独を感じる中でお互いのつながりを感じることができる。この取り組みを始めたことで、このレストランは史上最高の売り上げを記録したという。また、家に籠もる事による孤独感、閉塞感を少しでも和らげようと、会社のチーム内でもZoomなどのテレビ会議システムを使ってみんなで集まり、バーチャルハッピーアワーというオンライン飲み会もはやりだしている。

日本でもできることがあるはずだ。教育やエンターテインメント系のオンラインコンテンツは続々と無料化されるなどして、我々も恩恵に預かっている。だが、一方的にテイクするばかりではなく、こんな時だからこそ行きつけのレストランや日ごろお世話になっているフリーランサー、故郷や住んでいる地域に恩返しとして自分がギブできることを考えよう。

たとえばメールやLINE経由で気軽にギフトを送れる「ギフティ」というスタートアップのサービスを使えば、お世話になっている習い事の先生やフリーランサーの友人に、気軽にビールやコーヒーの交換チケットの差し入れができる。また、弊社の投資先であり、飲食店予約サービスを提供するトレタというスタートアップは「応援早割予約」サービスの提供を開始した。数カ月後まで利用可能な食事券を事前に買うことで、行きつけの飲食店の短期的な資金繰りを助けることにつながる。

コロナウイルスの影響で苦しむ人々を支援するためのふるさと納税やクラウドファンディングも続々と立ち上がっている。外出できずに家に籠もっていると、どうしても気持ちがネガティブになりがちだが、こんな時こそ自分がテイクすることばかりを求めるのではなく、どんな小さなことでも自分がギブできることを考え実行に移すべきだ。

[日経産業新聞2020年4月7日付]

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