マイ陶磁器、絵付けにはまる ノリタケの森(名古屋市)
おもてなし 魅せどころ

愛知
2020/4/6付
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NIKKEI MJ

名古屋駅から北へ歩くこと10分。ビルの合間を抜けた先に静かな時間が流れる複合施設「ノリタケの森」はある。ノリタケカンパニーリミテドの陶磁器工場跡地だ。高さ45メートルの煙突を擁するこの工場は長らく名古屋のシンボルだった。40年前に工場としての機能は終わりを迎えたが、レンガ造りの建物が並ぶ園内では今でも当時の面影をしのぶことができる。

陶磁器製のひな人形は世界最大級の大きさを誇る

陶磁器製のひな人形は世界最大級の大きさを誇る

明治時代、ここは「世界の工場」だった。同工場は1904年に建てられた。置物としての陶磁器だけでなく、大型の皿とカップなどを組み合わせたディナーセットを大量生産するためだった。それまで日本の食器は商品ごとに形が違うものが味があるとされていた。色も灰色に近いものだった。海外で通用する洋食器をつくるため真っ白な食器を寸分たがわぬサイズに焼き上げる技術を磨いた。

試行錯誤の結果、生み出されたディナーセットは名古屋駅から名古屋港へ運ばれ、世界へ輸出されていった。手ごろな値段と安定した品質から米国の多くの家庭を彩ったという。

かつての工房の一つは今はショップとして使われている。中に入ると陶磁器製のひな人形「大親王揃」が迎えてくれた。高さは男びなで67センチメートル、女びなで55センチメートルと世界最大級のサイズだ。10種類ほどのパーツでつくられており、ぴたりとはまるよう寸分たがわぬ大きさで焼き上げた。ディナーセットで培った技がここでも光る。小さいサイズの商品は購入することもでき、外国人らに人気という。

施設内の展示は季節ごとに変わる。4月11日からはかつての工場のシンボル「陶磁器焼成用トンネル窯煙突」にこいのぼりが掲げられる。

西側の「クラフトセンター」では陶磁器ができるまでの工程を見て回ることができる。熟練の職人が細やかな模様を描くさまが目に入る。有料で自分で絵付けすることも可能だ。特に制限時間などはないので、はまる人はとことんはまるとか。毎週のように絵付けに来る人もいるという。

3階以上はミュージアムになっている。ノリタケカンパニーの前身である森村組や日本陶器で作られた「オールドノリタケ」が飾られている。職人が一つ一つ絵付けしたきらびやかな花瓶などが並ぶ。ほかにも今は廃盤になってしまった貴重な皿などが壁一面に並ぶさまは圧巻だ。

7年後のリニア開業に向けて名古屋の景色は再び変化を見せている。駅前で高層ビルが林立するなか、ノリタケの森の隣でもイオンモールの建設が進んでいる。オフィス併設される施設で2千人以上が働く見通しだ。ノリタケの森が一層にぎやかになることは間違いない。

(名古屋支社 植田寛之)

[日経MJ 観光・インバウンド面 2020年4月6日付]

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