春秋

春秋
2020/3/25付
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東京から北陸へと新幹線での旅。右手に群青の日本海を眺めつつ進めば、やがて左には雪をいただいた雄大な立山連峰が姿をあらわす。ゴツゴツとした尾根や谷の造形が目を奪う。この山なみにも似た力強さが持ち味の大相撲の朝乃山(26)が、きょう大関へ昇進する。

▼愛称は出身地から「富山の人間山脈」。4年前の初土俵以来、順調に昇進し、昨年5月場所では幕の内で優勝を果たした。トランプ米大統領から「グランドチャンピオン」と呼ばれ、特製トロフィーを授与された姿をご記憶だろう。実力者で強運の持ち主とみえるが、角界入り後は相次ぎ恩師とつらい別れも経験している。

▼高校での指導者、浦山英樹さんからは今も得意とする形を教わった。朝乃山が十両入りの直前に40歳で病死。走り書きの遺書に「おまえには無げんのチャンスがある。富山のスターになりなさい」とあった。もう1人は大学時代の監督、伊東勝人さんで、1月にLINEで助言を受け、2日後に訃報が届いた。55歳だった。

▼悲しみを越え出世した姿に期待したいが、土俵を取り巻く状況はなお厳しい。春巡業は全て取りやめ、5月場所は入場券の発売時期も未定だ。他のスポーツも深い霧の中にある。日本中のみならず世界から集まった人間山脈の力の見せどころかもしれない。四股は地から邪気を払い、無病息災をもたらすとか。よいしょお。

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