朝井まかて「秘密の花壇」(66)

朝井まかて「秘密の花壇」
2020/3/25付
情報元
日本経済新聞 夕刊
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その他

三章 筆一本 19

構図は作者が下書きを描いて指図するのが慣いであるらしく、絵心のなさを自認している興邦にとっては本文を書くよりも遥(はる)かに時を喰う作業だ。四苦八苦して板元の和泉屋に持って行くと、手代は中をろくろく改めもせずに「はい、はい」と受け取った。

興邦の著作の出板は、山東京伝へのいわば歳暮代わりなのだった。

それでも年が明けた新春、『廿日余四十両(はつかあまりにしじゅうりょう) 尽用而…

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