テレワークついに開花か 働き方改革、思いがけず達成!?
先読みウェブワールド (山田剛良氏)

コラム(ビジネス)
ネット・IT
2020/3/15付
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NIKKEI MJ

新型コロナウイルス感染症対策として在宅勤務やテレワークの導入拡大を急ぐ企業が増えている。経団連が9日に公表した調査では企業の7割弱が「実施、もしくは実施予定」と回答した。テレワーク向けシステムを手掛けるIT(情報技術)企業はサービスの無償化に踏み切るなどアピールに余念がない。日本にテレワークは根付くのか。

テレワーク向けサービスを期間を限って無償で提供する企業が増えている

テレワーク向けサービスを期間を限って無償で提供する企業が増えている

「既に400件以上の問い合わせをもらった。想定を大きく超えており驚いている」と話すのは韓国に本拠を置くRSUPPORT(東京・港)の新上幸二セールスマーケティング部マネージャー。

ウェブ会議やパソコンの遠隔操作などテレワーク向けサービスを手掛けており、1月30日に無償提供を発表した。早いタイミングだったのは「社長の決断。東日本大震災や熊本の地震などでも同じ対応をしてきた」(新上氏)。

テレワーク関連サービスを一時的に無償提供するIT企業が増えている。日経クロステックの調査では5日時点で60種以上のサービスに上る。ウェブ会議やチャットツールなどのコミュニケーション支援、リモートデスクトップやVPNなど業務環境のリモート化、さらには自治体の問い合わせ対応や会計ソフトまで多岐にわたる。

利用率も高いようだ。Rサポートの新上氏は「ウェブ会議サービスでは会議件数も参加人数も通常の5倍以上に増えている」と話す。無償サービスながら実際に活用している企業の姿が透ける。

富士通で働き方改革推進やテレワーク導入支援などを手掛けるシニアエバンジェリストの松本国一氏は「ポイントは在宅ではできないと思っていた人たちが、やってみたらできていること」と話す。

システムや制度があっても使わなかった人や組織が、新型コロナ対応を機に利用を余儀なくされた。「多くの人がテレワークできない仕事とできる仕事の区別を実感したことが今後に影響を与える」と松本氏はみる。

やまだ・たけよし 東工大工卒、同大院修士課程修了。92年日経BP社に入社、「日経エレクトロニクス」など技術系専門誌の記者、日本経済新聞記者を経て16年から日経テクノロジー・オンライン(現・日経 xTECH)副編集長。17年10月から日経ものづくり編集長も兼任。京都府出身

やまだ・たけよし 東工大工卒、同大院修士課程修了。92年日経BP社に入社、「日経エレクトロニクス」など技術系専門誌の記者、日本経済新聞記者を経て16年から日経テクノロジー・オンライン(現・日経 xTECH)副編集長。17年10月から日経ものづくり編集長も兼任。京都府出身

腹を割った交渉などテレワークでは難しい仕事は確かにあり、導入に抵抗する勢力がいた。多くの従業員や経営者が実務で体験し、少なくとも理解は一段深まったはずだ。

IT企業のペーパーロジック(東京・品川)が都内の会社員111人を対象にしたウェブ調査では、回答者の96%がテレワーク制度の定着を望む結果が出ている。GMOインターネットグループの熊谷正寿代表のように「在宅勤務は業績に影響しない。中長期的にオフィスコスト削減につながる」とメリットを公言する経営者も出てきた。

テレワーク業界には、今夏の東京五輪・パラリンピックが推進の起爆剤になり得るとの期待があった。期間中は交通渋滞が起き、出勤の制限やテレワークを推進する企業が増えると予想されていた。それが前倒しになった形だ。

東京都のテレワーク導入率は2018年時点で19%(都産業労働局調べ)。五輪に向けた都の目標(35%)に及ばないが、新型コロナ対応で流れは大きく変わるだろう。

富士通の松本氏は「テレワーク推進は強制的な働き方改革でもある。テレワークでできない仕事は不要かもしれないと考える契機になる」と話す。2020年は日本人が働き方を大きく変えた年として記憶されるかもしれない。

[日経MJ2020年3月15日付]

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