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春秋

きょうは東京大空襲の日である。のちに作家・山田風太郎となる青年は75年前、日記に痛憤を書き記した。「こうまでしたか、奴ら!」。新型コロナウイルスのせいで今年の追悼式は中止になったが、日本人は忘れてならない日だろう。世界的にも広く記憶されていい。

▼多くのチベット人に深い悲しみを呼び起こす日でもある。61年前、中国共産党への反発からラサで騒乱が起き、ダライ・ラマ14世が亡命を余儀なくされたのである。「決定を下さねばならなかったのは、私であった。しかし、世俗的な事柄に関して、何の経験も持たなかった私にとって、それは容易なことではなかった」

▼脱出を決意したときの困難な心境をダライ・ラマは自叙伝でこう振り返っている(木村肥佐生訳)。当時はまだ20代前半で、精進につとめる若者だった。その存在感がいまや世界的なのは周知の通りである。茶目っ気のある笑顔とわかりやすい英語で愛と平和、慈悲を説き、チベット語を理解できない人をも魅了してきた。

▼深刻な政治問題であるチベットのあり方について「中道」を唱え、記者会見などでは当意即妙のユーモアを披露する。「世俗的な事柄」でも精進を積んだのである。先月22日は即位80周年という記念すべき日だったが、やはり新型コロナウイルスのため公の行事を控えているのが実情である。故国に帰還できるのはいつか。

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