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社会支えるヘルステック

SmartTimes インターウォーズ社長 吉井信隆氏

米マイアミのスタートアップ、Papaが話題を呼んでいる。高齢化が進み、孤独と日常生活の不便さを感じているシニア世帯に大学生を派遣するアプリサービスだ。シニアがアプリに登録すると、登録済みの大学生とシニアをマッチングしてくれる。学生が車で買い物に同行したり、家事やパソコン操作などのサポートや話し相手になることで報酬を得るビジネスだ。

1979年リクルート(現リクルートホールディングス)入社。首都圏営業部長など経て95年にインキュベーション事業のインターウォーズを設立、社長に就く。日本ニュービジネス協議会連合会副会長。

Papaを利用するシニアにとって利便性だけでなく、学生との交流が気持ちの若返りや健康につながっているのかもしれない。昨年10月には1000万ドルを調達し、複数の医療保険会社とパートナーシップを結び事業を拡大している。

高齢化が進む世界各国で、ヘルステックへの取り組みが進行している。ヘルステックとはヘルスケアとテクノロジーを掛けた造語で、病気の予防や健康管理、診療後のアフターケアサービスの概念だ。

医療情報の電子化が進み、電子カルテシステムによる医療機関同士の情報共有、医療ビッグデータの利活用が可能になった。医療業界はICT(情報通信技術)化が進展し、ヘルステック分野での様々なスタートアップが生まれている。

病気を治療する医療から、ヘルステックによって健康予防やヘルスケアデータによる診断を拡大することで、医療費削減にもつなげている。

世界最速で高齢化が進む日本では、単身の高齢者が増大している。5年後、団塊の世代が75歳になり、医療や介護などの社会保障費が急増する「2025年問題」は先送りできない。後期高齢者が約2200万人で4人に1人が75歳以上となり、孤独や不便を感じる高齢者の生活を支える仕組みの再構築が急務だ。

日本のヘルステックは医師同士のコミュニティーや医師と患者のオンラインによる医療段階から「PHR(パーソナル・ヘルス・レコード=個人健康記録)」を使い、自ら健康を向上する段階に入っている。

PHRとは個人の健康・医療情報を保管し利活用する仕組みのことだ。病院や行政、事業者ごとに散在している健康診断、医療情報や個人のライフログを集約できる。2016年、京都大学でPHRの標準化および利活用促進について、産学連携で「京大データヘルス研究会」がスタートした。大学や行政、オムロンヘルスケア、キヤノンマーケティングジャパンOKI、リクルートといった企業が参加し、PHRの事業化や連携に向けた取り組みが加速している。

PHRが切り開くヘルステック分野への投資や、アプリ開発から関連機器やオンラインサービスに取り組むスタートアップ企業が増えている。

日本のヘルスケアの未来が医師から患者への図式から、自らが健康情報を管理活用する社会へと姿を変え始めた。

[日経産業新聞2020年3月9日付]

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