/

春秋

最近話題のトピックや社会現象について当座の知識を仕入れるのに便利な本だ。書店に並ぶ「新書」にこんなイメージをもつ読者もいるだろう。ところが先日、近所の書店がやっていた新書の蔵出しキャンペーンなる棚をのぞいて、それが先入観であると気づかされた。

▼超ロングセラーも少なくない。斎藤茂吉の著作「万葉秀歌」は岩波書店が新書の刊行を始めた1938年以来、109刷を重ねた。読み返されるべき本もある。阿部彩さんの「子どもの貧困」は12年も前の出版物だが、この深刻な問題はいまだに解決できていない。さらに手がのびた1冊が「パンデミックとたたかう」だ。

▼ウイルス感染症の専門家、押谷仁さんと作家の瀬名秀明さんが2009年の新型インフルエンザの感染拡大を機に書いた。日本は感染症の流行に個々の対応はするが、それらを統括する基本戦略に欠ける。教育界は感染症を「過去のもの」ととらえ公衆衛生学や感染症の疫学の研究者を育てない――。耳の痛い指摘が続く。

▼教訓は生かされなかったのか。ぼやいてばかりいられない。感染が広がる新型コロナウイルスとたたかい、未来の感染症に備えるためにも過去に学ぶ時だろう。出版科学研究所の調べによれば昨年出版された新書は2391点。矢継ぎ早に世に出る新刊の海におぼれることなく、大事なメッセージを放つ1冊を見極めたい。

春割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

関連キーワード

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で申し込むログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で申し込むログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で申し込むログイン