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キャッシュレスで変わるお金 少額決済で感謝の投げ銭も

奔流eビジネス (D4DR社長 藤元健太郎氏)

NIKKEI MJ

新型コロナウイルスが様々な影響を与えている。中国では現金がウイルスを媒介する可能性があるとして、銀行が紙幣を消毒している。日本でも感染が広がると現金への警戒が広がり、キャッシュレスへの流れを加速させる要因のひとつになるだろう。

日本においてはスマートフォン決済が新しい局面に入った。先行していたベンチャーのOrigami(オリガミ、東京・港)が消耗戦についていけず、メルペイ(同)への事業売却を決めた。店頭決済では、LINEとヤフーの統合によりPayPay(ペイペイ)とLINEPay連合の強さが際立ち、コンビニエンスストアや携帯電話会社系とシェアを争いそうだ。

一方で新しい動きも見えてきた。ひとつはペイペイなどによる「スーパーアプリ」化で、タクシーの支払いなど様々な決済をひとつのアプリに統合する。店頭決済はひとつの機能でしかなく、お金がシームレスにデジタルになることで生まれる新しい価値訴求こそが今後は大事になる。

もうひとつ、デジタル給料解禁も注目だ。給料の毎日振り込みが可能になり、会社からの前借りサービスも増えるだろう。

こうした中でユニークなのが、決済アプリとしてスタートしたpring(プリン、同)の「チーム」というサービスだ。ブログやSNSのように自分のコンテンツを配信でき、投げ銭やクラウドファンディングのように閲覧した人からお金を集められる。なんと1円からやり取りできるのだ。

1人10円でも1万人集まれば10万円になり、毎日続けば1カ月で300万円になる。少額決済マイクロペイメントは何度も議論されてきたが、決済や振込の手数料などが高く大きな壁になっていた。

しかしプリンは資金移動業のスマホ決済プラットフォームであり、ユーザー間のやりとりには銀行などに手数料を支払う必要がない。手数料率も9.5%と既存の投げ銭システムよりはるかに格安で、アップルなど他のプラットフォーマーに支払わなくて済むことが大きい。

投げ銭の総額は1月のサービススタートから12倍に増えており、90%が100円未満の投げ銭なのも狙い通りだろう。インスタグラムではよほどのインフルエンサーでないとビジネスは難しいが、ここでは投稿がすべてお金になる可能性がある。

すでにコスメや動物、赤ちゃん、語学ノウハウ系など広告ビジネスでは厳しかったコンテンツにどんどん投げ銭が発生している。プロデューサーの仁科ゆり氏は「埋もれている世の中のマイクロインフルエンサーたちが活躍できるプラットフォームを目指したい」と語る。一方で、はあちゅう氏やアソビシステム所属のタレントなど有名人も活用を模索している。

マイクロペイメントが広がれば、感謝や価値の交換にも当たり前のように少額のお金が使われるかもしれない。デジタル化により、誰が何にどのくらいのお金を投げたかは可視化できる。「私」の意志の集合体であるお金が、「公」のお金の新しい形として様々な社会活動で利用されることも期待される。

[日経MJ2020年2月28日付]

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