春秋

2020/2/25付
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それは1988年9月に始まった。東京・神田の「古本まつり」や、江戸時代から続く「長崎くんち」などが中止・縮小された。都心のホテルでは、社長就任や会社設立記念、政治家のパーティーがほぼキャンセルに。昭和天皇の病状悪化に配慮した「自粛」の連鎖だ。

▼目に見えない同調圧力が、社会に広がった。今回は、目に見えぬウイルスへの恐怖である。就活の合同企業説明会、自民党の党大会……。人々が集まるイベントの中止や延期が相次ぐ。感染経路が不明な新型肺炎の患者も出始めた。流行させてはいけない。政府の専門家会議は、「不要不急の会合は避けて」と呼びかけた。

▼この3連休、外出を控えた方もおられよう。寄席や映画館のほか、今が盛りの梅見に出かけるのも二の足を踏む。そんなニッポンがどう映るのか。海外の視線も気になる。米国は日本への旅行者に渡航注意情報を出した。なんとロンドン市長選の候補は、東京五輪中止を念頭に地元で代替開催の用意があるとツイートした。

▼この報にネットユーザーがざわついた。「火事場泥棒だ」「感染者が出た英国船籍の客船を日本が受け入れたのに非礼」。一方、「感謝したい」の声も。最悪の事態を想定するのが真の危機管理だと言うのだ。マラソンを札幌に変更した騒動が懐かしい――。そんなつぶやきが切なく響く、胸突き八丁の感染症との戦いだ。

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