春秋

2020/2/23付
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寺山修司に、きりりとした早春をイメージさせる歌がある。「人生はただ一問の質問にすぎぬと書けば二月のかもめ」。意表をつく言葉を組み合わせた、寺山ならではの世界だ。2月といえば試練と選択の季節。寒空のもと、入試に挑む若者たちの姿が重なって見える。

▼シーズンも後半戦だろう。国公立大の2次試験を控え、緊張のなかで最後の数日を過ごしている受験生の胸中を思う。今年は暖冬で冷え込みが弱く、北国でも雪が少ないからそれだけでも幸い――のはずだったが、新型コロナウイルスなる大敵が現れた。ただでさえ神経質にならざるを得ないのに、なんと無慈悲なことか。

▼そもそも、いちばん寒い時期に試験をやるから大変なんだ……とぼやいてみても、いまが勝負の受験生の慰めにはなるまい。思えば、すったもんだの入試改革の論議でもこの問題は手つかずのままだ。入学時期を秋に移せば欧米などと一致する、みんなの負担も減るという声をずっと昔から抱えつつ、変わらぬ日本である。

▼「その日からきみみあたらぬ仏文の 二月の花といえヒヤシンス」(福島泰樹)。こちらは学園紛争が盛んだった時代の、騒然たるキャンパス風景だ。往時の紛争にはブームみたいな面もあったろうが、大学とは何かという根源的な問いを含んでもいた。いささかくたびれたカモメにも、2月はさまざまなことを思わせる。

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