春秋

2020/2/22付
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国会議員や弁護士たちは、胸に独特のデザインの記章をつけ、仕事にのぞむ。職業への誇りや使命感の証しであろう。実は、検察官にもあり、通称、秋霜烈日バッジなんて呼ばれている。国語辞典を引くと、刑罰や威力がきびしく、ごまかしを許さないさま、とあった。

▼70年前に決まり、形が霜と日の組み合わせに似ることから、厳正な検事の職務とその理想を示すとして、当の四字熟語で呼ばれるらしい。ところが、その烈日に最近、少しかげりがみえるかのようである。先月末、ほどなく63歳の定年を迎え退官するはずの黒川弘務・東京高検検事長の任期が半年間延長されたのが発端だ。

▼表向きは「業務上、必要があった」との説明だが、前例のない措置を周りはそう見ないようだ。官邸に近いとされる黒川氏にとって、これで今夏にもトップである検事総長への道が開かれたかっこう。昨今は身内からも批判が上がり出し、全国の検察幹部の会議で「国民に経緯を説明すべきだ」と問題提起があったという。

▼政界に切り込み、腐敗をえぐり出してきた捜査機関である。政権からひいきされ、公正さに疑念を抱かれては、迷惑千万と感じる方が普通だろう。政治との間合いが秋霜烈日ならぬ春風(しゅんぷう)駘蕩(たいとう)とあいなって、巨悪がすやすやと眠る事態はごめん被りたいものだ。今夏以降、バッジのデザインを変えますか。むろんトップのみ。

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