春秋

2020/2/21付
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東京の浅草寺の裏手を歩いていると「飛不動前」という道路標識に出くわした。とびふどう、と読むようだ。参道の先にお堂が立ち、傍らに多くの絵馬がかかっている。某県の防災航空隊や自衛隊が安全を祈り、航空会社への就職や操縦資格の取得を願うものもあった。

▼16世紀創建とされる寺、正宝院が正式名、と案内板にある。その昔、住職が奈良の大峰山にここの不動明王像を持ち修行に赴いたところ、像が一夜にして飛んで戻ったとの伝説が残るという。「近年は航空安全の守護神として有名になり……」と説明が続き、合点した次第だ。飛距離を伸ばしたいゴルファーも参るらしい。

▼ヒトやモノの移動の主役として経済の土台を支える航空の世界。最近、関連の大きなニュースもいくつか流れた。国産旅客機の復活をかけた「スペースジェット」は6度目の納入延期となり、トップが陳謝している。一方、羽田空港の国際線増便に伴う新ルートの実験では、都心を低空で通る機体に驚いた方も多いだろう。

▼さらに新型のコロナウイルスの感染拡大である。春節の中国人客は2割減、日中間の航空便も半数以下になったという。憤怒の形相で剣を持ち、人々の煩悩を断つという不動明王。本来は担当外の空の安全に加え、難事業の成功やら病魔退散の祈願までされるようになっては、お顔に困惑の色が浮かびはしまいか。心配だ。

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