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古くなった煎茶をおいしく ほうじ茶アレンジが楽しい

NIKKEI STYLE

日本茶の茶葉を、一度開封したまま食器棚や冷蔵庫に放置している人も多いのでは。新しい茶葉が手に入ったからと、捨ててしまうのは惜しい。少し古くなった茶葉をおいしく楽しむ方法を教わった。

日本茶の茶葉の賞味期限は一般に、未開封の状態で半年から1年ほど。一度封を開けてしまうと、風味の劣化が進んでしまう。しかし、ひと手間加えると、まだまだ、おいしく味わえるという。

日本茶をベースに、多種多様な風味をつけたフレーバー茶を販売する「おちゃらか」(東京・中央)代表のステファン・ダントンさんは、「蒸して、もんで、乾燥させて作る日本茶は、保存食品。時間がたって香りや風味が薄くなったら、それを補う工夫をすればよい」と話す。同店では、自由で柔軟な日本茶の楽しみ方を提案している。

ほうじ器不要 できたての味

手軽に楽しめて、おすすめなのはほうじ茶。一般的な煎茶なら、炒(い)るだけでほうじ茶になる。専用のほうじ器は不要。「ホットプレートを利用してダイニングテーブルなどで茶葉を炒ると、家中によい香りが広がるし、親子で一緒にすれば楽しい」とステファンさん。香りがたつだけでも風味がよくなるが、「ここに新しい茶葉を3分の1程度足せば茶のうまみが補強され、さらにおいしく飲める」。

フライパンを使ってもよい。日本茶を販売する「チャイチワークス」(東京都府中市)の代表で日本茶インストラクターの市川雅恵さんは「2~3杯分など急須でいれる量を炒れば、炒りたての香ばしさが楽しめる」と説明する。

炒ると煎茶に含まれるカテキンやビタミンは失われるが、カフェインが減少し、ピラジンという香り成分が増える。「ピラジンはリラックス効果をもたらすといわれている」(市川さん)という。

ホットプレートやフライパンはフッ素樹脂加工タイプを使い、洗って油や匂いを除いておくのがコツ。細かな葉は焦げやすいので、茶こしでふるい、除くのがおすすめだ。

中火で円を描くようにフライパンを動かし、白い煙がのぼって香りが出てきたらスプーンなどで混ぜる。深煎り、浅煎りなど好みで火を止めて、皿に広げて冷ます。冷めるまでの間も余熱で火が少し入ることを考えて止めよう。

アレンジ自在 牛乳と好相性

まろやかさと香ばしさが増したほうじ茶は炒りたてで飲んでもおいしいが、アレンジすると楽しみ方が増える。おすすめはほうじ茶ミルクティー。鍋に入れた牛乳や豆乳に、ほうじ茶を加えて煮出し、茶こしでカップに注ぐ。「特に豆乳が苦手な人は、ほうじ茶の香りで飲みやすくなるので、ぜひ試してほしい」とステファンさん。ハチミツやショウガ、ココア、シナモン、ラム酒などをプラスするのもよいという。

市川さんは「牛乳に、急須でいれたほうじ茶を半々くらいの分量で混ぜる作り方でも手軽でおいしい」。牛乳を先に電子レンジで加熱し、ほうじ茶を注ぐと熱々で楽しめる。ほうじ茶そのものにチョコレートを溶かし、ホットチョコレートのようにして飲むのもおすすめという。

ほうじるのが難しいなら、少し古くなった茶葉はそのままに、簡単に楽しむ方法も。好みのハーブや柑橘(かんきつ)の香りを足し、オリジナルのフレーバーティーを作る。ミントやレモングラスを加えれば清涼感が出て、気分が変わる。使うハーブはフレッシュな葉でもフリーズドライでもOK。身近にあるもので試してみると面白いだろう。

「鍋物などに使ったユズの残りを利用し、皮をそいで茶葉と一緒に急須に入れても。豊かな香りが立ち上って、いやされる」(市川さん)

茶葉と昆布という組み合わせもある。「だし昆布を細かく切って茶葉に混ぜると、二煎三煎といれるたびに味が変化し、昆布の旨みが強まる。お茶漬けなどにもぴったり」(ステファンさん)

普段、常温や冷蔵の緑茶飲料を購入しているなら、古い茶葉の欠点が目立ちにくい水出し茶を作るのもおすすめだ。水出しだと苦味・渋味が出ずに、本来のうまみがまろやかに抽出される。水に茶葉を入れ、ひと晩冷蔵庫に置いておくだけ。「お茶のカフェインは40度以下では出にくく、子供が飲んでも大丈夫」(市川さん)

劣化したからと諦めず、好みの味わい方で楽しもう。

(ライター 土井 ゆう子)

[NIKKEIプラス1 2020年2月22日付]

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