換気を日課にしよう ウイルス対策、掃除の手間減らす
生活コラムニスト ももせいづみ

インフルエンザの季節到来かと思いきや、新型ウイルスの流行もあって、心落ち着かない季節の変わり目となってしまった。
手洗いやうがいはもちろんのこと、しっかり食べて寝て免疫力をつけるなどの対策を心がけたいのだが、家事の面でもいろいろ気になってしまう人も多いと思う。ウイルスが付着しやすいドアノブや電気のスイッチなどをこまめに消毒といった話も耳に入ってくるが、神経質になりすぎても疲れて逆効果。そこでまず、毎日簡単にできる「換気」をこころがけてみよう。
人は通常、1時間に6畳分ぐらいの新鮮な空気を必要としているのだそうだ。室内は人の息だけでなく、調理や食事から出る蒸気や油分、カーテンやラグ、衣類や布団から出るほこり、外から持ち込まれる土ぼこりや花粉、ウイルスなどが充満していく。
冬場は特に、暖房で窓を開けない時間が多いため、室内の空気が汚染されがち。こうなると調理の油分を含んだ蒸気やほこり類が家具や床に堆積して汚れの原因になるし、目や喉の粘膜を痛めて抵抗力を弱めてしまうこともあるので、こまめな換気はとても大切だ。

効率の良い換気は、対角線上に2カ所の開放口を作り、窓際で外に向けてサーキュレーターや扇風機を回すこと。難しければ1カ所窓を開けて空気の入り口を作り、換気扇を回すのでもOK。これでだいたい、5分から10分で空気が入れ替わるそうだ。
理想では2時間おきぐらいの換気が望ましいそうだが、そうもいかないという人は、せめて外出から自宅に帰ったあとと、朝の起床後はしっかり換気をしよう。
24時間換気システムのある家なら窓を開けなくても居室の空気は入れ替わっているが、帰宅後の換気は窓の鍵やベランダ、居室の確認にもつながるし、朝は外気を浴びることで気持ちいい目覚めにもつながるので、ぜひ習慣にしてほしいなあと思うのだ。
ただし、花粉症の人は窓全開というわけにはいかない。花粉の飛散が少ないのは早朝と夜なので、この時間を狙い、空気の取り込み口にフィルターをつけたり、スギ花粉などを通さない花粉対策用網戸を導入するなど、対策を講じて。

空気清浄機の利用も有効だが、これはあくまでも中の空気を循環しているだけ。酸素を含む新鮮な空気は入ってこないので、換気はやはりこころがけて。
また、定期的にクローゼットやたんす、押し入れの扉も開けて換気をしよう。空気を入れ替えることで湿気やほこりの滞留を防ぐことが、カビや汚れの予防にもつながり、結果的にそうじの手間が減る。
そう考えると、換気は健康面で大切なだけでなく、そうじの手間も減らしてくれる、優秀な超時短家事なのだと思う。

[日本経済新聞夕刊2020年2月18日付]
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