歴史的文化財と自然体感 三渓園(横浜市)
おもてなし 魅せどころ

神奈川
2020/2/17付
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NIKKEI MJ

近代以降に発展した横浜には歴史的な名所が乏しい。そのなかで、日本の伝統文化や自然を体感できる場所が横浜市中区にある三渓園だ。生糸貿易で財をなした実業家、原三渓が1906年(明治39年)に自邸を一般開放したのが元で、約17万5000平方メートルの広大な日本庭園に京都や鎌倉などから移築した貴重な建築物が点在する。

広大な日本庭園を散策しながら、日本の伝統文化や四季折々の自然に触れられる

広大な日本庭園を散策しながら、日本の伝統文化や四季折々の自然に触れられる

建築物17棟のうち10棟が国の重要文化財になっている。京都府木津川市から移築された「旧燈明寺三重塔」は室町時代の1457年に建てられた。園内を見下ろす丘の上にあり、三渓園のシンボル的建物だ。

豊臣秀吉が建てた「旧天瑞寺寿塔覆堂」や飛騨白川郷から移築した入り母屋合掌造りの民家「旧矢箆原家(やのはらけ)住宅」も重要文化財に指定されている。旧矢箆原家住宅では屋内の囲炉裏に火がおこされ、かつての日本人の暮らしぶりを実感できる。

広大な庭園では植物が自然美を競い、四季折々に違った表情を見せてくれる。秋は紅葉、2~3月はヤマツバキや梅、春になるとコブシや桜の花が咲く。見ごろに合わせて、観梅会や朝顔展、盆栽展なども開催されている。

横浜駅からはバスで35分、バス停から徒歩5分と決してアクセスはよくない。日本人入園者が伸び悩むなか、外国人の間ではインターネットなどを通じて評価が高まっている。

18年度の入園者約40万人のうち1割強が中国や台湾を中心とした外国人で、割合は増加傾向にあるという。

園を管理する三渓園保勝会の吉川利一事業課長は「様々な伝統文化を一度に触れられる、美術館のような場として評価されている」とみる。19年に横浜で開催されたアフリカ開発会議やラグビーワールドカップ2019日本大会の際は、空いた時間に足を伸ばす出席者や応援のファンの姿も目立った。

茶道や和装着付けなどの体験型プログラム・イベントも人気が高い。園内に置かれた感想ノートには「amaging place」(素晴らしい場所だ)「very nice tea ceremony」(茶道が素晴らしい)などの感想が並ぶ。

外国人の間では口コミによる人気が先行した形だが、園側も受け入れ体制を整えつつある。英語での対応可能なガイドボランティアに加え、今後はスマートフォンを介した英語、中国語と韓国語の音声ガイドも導入する予定だ。ホームページやリーフレットも多言語化する。体験型のプログラムも充実させる。

三渓の邸宅だった「鶴翔閣」を商談や会議に利用できることをPRするなど、ビジネス需要も広げたい考えだ。

(横浜支局長 石川淳一)

[日経MJ 観光・インバウンド面 2020年2月17日付]

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