伊集院静「ミチクサ先生」(155)

伊集院静「ミチクサ先生」
2020/2/17付
情報元
日本経済新聞 朝刊
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その他

明治二十八年十月三十日、子規は東京へむかう汽車の窓から、天を突く富士山を仰いだ。

確か、友が、この山をよく見ておけと送別の折、言ってくれた気がした。

句帳を鞄の中から出してめくった。

――やはり、金之助君か……。

 見つつ行け旅に病むとも秋の不二 漱石

子規はその句にむかって手を合わせた。鼻の奥が少し熱くなった。

――金之助君は、あしにとって"畏友"どころではないぞな。げにええお人じゃ。

プラットホ…

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