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実物見る前に… D2Cの広告やロゴ、気づけば刷り込み

奔流eビジネス (スクラムベンチャーズ マーケティングVP 三浦茜氏)

NIKKEI MJ

消費者に商品を直接届ける「D2C」、定額で継続課金する「サブスクリプション」は日本でもよく聞くキーワードとなっている。米国はともに既に真新しいものではなく、あらゆる分野でサービスが乱立しているのを感じる。

筆者は子供を産んで1年経つが、この1年でベビー関連のあらゆるD2Cやサブスクサービスにターゲティングされた。フェイスブックやインスタグラムで訴求された広告を並べてみると、D2Cベビーカー(ZOE, Colugo, Mockingbird)、離乳食サブスク(Yumi, Littlespoon, Raisedreal)、知育玩具サブスク(Monti Kids, Lovevery, KiwiCo)、子供服サブスク(Rockets of Awesome, Kidbox)などがある。加えてフォトアルバムサービスやベビーの等身大アートなど、ベビー関連グッズの広告に訴求されない日はない。

新しいもの好きなので、子供が生まれる前は色々試してみたいと思っていた。しかし、いざ実際に使うとなるとためらう自分がいた。特にベビーカーなどは子供が乗るものなので安心安全重視。実物を見て買いたい。D2Cベビーカーの広告を見るたびにD2Cで購入することは絶対にないと思っていた。

ところが、最終的にD2CベビーカーのZOE(ゾーイ)を購入することとなった。購入までの流れが絶妙なマーケティングだと感 ZOEは175ドル(約1万9千円)からの安価なベビーカーで、店頭では販売していない。存在はママ友からの口コミで知った。米国のベビーカーにしては軽くコンパクト。なんとなくウェブサイトを見てから、広告にリターゲティングされまくる日が続いていた。

その中で確実にブランドを認知していた。ママ友との会話にちょっと出てきただけ、数分たらずだったのに、その後の広告でロゴが脳裏にこびりついてしまった。

ベビーカーを調べ始めると、継続して広告が目に入るのでZOEも候補に。すると使っている人に遭遇する。ブランドがわかりやすいデザインなので、ロゴをいったん認識すると簡単に見つけられる。

仲の良いママ友が旅行用としてZOEを購入したので試乗もできた。D2Cはオンラインで人気が出た後、ショールームのようなリアル店舗を作るのが最近の流れだ。今回の経験を経て、人気のD2Cはショールームすらもいらないのだと思った。

オンライン販売とはいえ、エリアを限って広告を出稿し特定の地域で盛り上げるのは、D2Cの一つの販売手法とされている。ZOEがエリアターゲティングをしているかは知らないが、ブランドを知った後の狙った広告による刷り込み、そしてブランドを認識した途端に商品が目に入ってくるというのは、見事な流れだと思った。

購入したベビーカーは子供も喜んで乗っていて満足している。しかしながら、このプロセスはちょっとしたマインドコントロールのようにも感じて、複雑な気もしている。

[日経MJ2020年2月14日付]

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