伊集院静「ミチクサ先生」(151)

伊集院静「ミチクサ先生」
2020/2/13付
情報元
日本経済新聞 朝刊
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その他

道後の湯屋で金之助は子規の背中を流そうと背後に回った。

その時、金之助は思わず息を呑(の)んだ。

痩せ衰えた子規の背中は、骨と皮ばかりで見るも無惨(むざん)だった。

――こんなに痩せてしまっているのか。

金之助は目頭が熱くなった。

友の身体はすでに健常な人の、それではなくなっていた。

「どうしたぞえ? 牛込の三助さん?」

「いや田舎のシャボンはなかなか泡立たなくてな」

「塩でかまわんぞ」

「いや、大切な新…

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