働く人の気持ちに配慮を
SmartTimes インディゴブルー会長 柴田励司氏

2020/2/9付
保存
共有
印刷
その他

1人の社員、アルバイトの行動で会社のブランドが毀損することがある。代表事例がバイトテロだ。

1985年上智大文卒。マーサ-ジャパン社長、カルチュア・コンビニエンス・クラブの最高執行責任者(COO)などを経て、2010年インディゴブルー社長、15年から会長。

1985年上智大文卒。マーサ-ジャパン社長、カルチュア・コンビニエンス・クラブの最高執行責任者(COO)などを経て、2010年インディゴブルー社長、15年から会長。

アルバイトが不適切動画をSNSに掲載する事件があった。事の重大さを理解していない悪ふざけだが企業や店舗のイメージダウンになるだけでなく、返金や商品の返品・交換および消毒、最悪の場合は閉店に追いやられることもある。

私自身、こんな体験をした。年末にハワイのホテルに滞在し、帰国後にクレジットカードの明細を確認したところ、チェックアウトの翌日に覚えの無い金額がチャージされている。

さっそくホテルにメールで照会した。ところが1週間過ぎても返事がない。リマインダーを送付した。それでも返信がない。

最後はホテルの総支配人の名前に宛てて送信したが梨のつぶて。知人を介してホテルチェーンの方を紹介してもらい、その方から確認してもらうことにした、しかし案件がハワイ側に投げられると返事がない。催促してもらったところ、ようやくハワイ側から返信が来た。問い合わせから2週間以上かかった。

ハワイ側のフロント責任者と何度かやりとりをしてわかった。私が送っていたアドレスはいわゆる営業用で、そこに営業と関係ない照会メールが来たので担当者が無視していたのだ。

無視されていたのは私だけではない。過去にも営業以外のメールは無視、廃棄していたらしい。ちなみにチャージはチェックアウトの際にフロント係が計上し忘れたものを、ゲストである私の同意なくチャージしたものとわかった。

このホテルはホスピタリティーの高さでは世界でトップクラスのブランドイメージを誇る。そのホテルチェーンであっても、1人の怠慢が私の中でブランドの印象を一気に引き下げることになった。

私の場合はしつこく確認したので状況がわかったが、連絡がないことから諦めた人もたくさんいるに違いない。私がそのホテルの経営者なら、ぞっとする。

社員の悪ふざけや犯罪行為、怠慢は一定以上の人数がいると統計的に発生する可能性が高まる。こればかりはルール整備や内部統制などの仕組みだけで防ぐことはできない。むしろ日々どのような会話が現場でされているか、職場環境はどうか。こうしたソフト面の影響が大きい。ちょっとした声掛けや特定の社員、アルバイトを孤立させない配慮などが効く。さらには自社の顧客価値を高めるための行動、顧客価値を毀損する行動を確認する対話の場を設けることが有効だ。

経営者が数字ばかり追求して働く人々の気持ちへの配慮を二の次にしていると、こうした問題が起きやすい。一人の社員、アルバイトの行動がブランドを毀損するが、その行動の源泉が経営者自身の言動にあるかもしれない。自らの日常的な言動を顧みてほしい。

[日経産業新聞2020年2月9日付]

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]