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子どもの貧困相談サイト UI洗練「技術で人助け」を形に

奔流eビジネス (通販コンサルタント 村山らむね氏)

NIKKEI MJ

「テクノロジーは人を不幸にする」という論調が最近目立つ。人工知能(AI)が人間から仕事を奪い、アマゾンが商店を潰す。もちろん負の側面もあるだろうが、テクノロジーは人を幸福にする、もしくは人の不幸を最小化するという側面も多々あると信じている。

まさにそんな事例に出会った。NPO法人の3keys(スリーキーズ、東京・新宿)による「Mex」(ミークス)という10代向けの相談サイトだ。

6人に1人の子供が日本で貧困状態にあると発表されたのは2014年。まったく実感がなく、統計に間違いがあるのではと軽く流したことを、実はよく覚えている。様々な場面で「6人に1人」は繰り返されているが、私を含めて実際に向き合っている人は多くはないだろう。

スリーキーズは代表理事の森山誉恵さんが「家庭環境に恵まれない子どもたちの頼る大人がいない」との問題意識から立ち上げた。学習支援や教室運営、啓発活動などを手掛けてきた。

「ここに来るまで大人に助けてもらった記憶なんてひとつもない」。そんな言葉を聞き、子どもたちが気軽に相談できるプラットフォームを作らなければとの危機感を募らせる。思いや助けてというSOSをスマートフォンで気軽に伝えられるよう、16年にミークスのサイトを作った。

仲間の支援もあってサイトのユーザーインターフェース(UI)は非常に洗練されている。内容はドメスティックバイオレンス(DV)や性被害の相談、体や心の不調についての記事。非常に重い内容ながら、切迫した相談者が気軽に次のステップに移りやすいよう設計しており、動画もふんだんに用意している。

貧困家庭の子どもたちでもスマホの所持率は決して低くはない。むしろ命綱にもなっているそうだ。だからこそ、スマホで気軽に自分の状態を大人と共有できる工夫が随所になされている。

特に配慮した点として森山さんが挙げるのは「使いやすさ」「匿名」「プライド」だ。わかりやすいUIと自分の辛さを見つけやすい言葉。匿名で相談できればアクセスのハードルを下げる。そして、相談者のプライドを傷つけない姿勢を持つことは大人としてとても大切な態度だ。

利用者からは「まとまっていてわかりやすい」「気持ちを吐き出したら勇気が出た」「死にたくなってリスカ(リストカット)して、ほんとうにヤバかったけど、たまたまこのサイトに行き着いて、いろんな記事を見て楽になった。ありがとう」などの声が寄せられた。テクノロジーは人を助けるという理想が実現されていると心底思う。

課題もまだまだある。本当に必要な子どもに知られていない、需要の多いLINEでの相談に対応しきれていない、子どもたちが相談したい時間帯に大人が応じられない、資金が足りない……。

このような活動に関して、我々は「知る」「伝える」「お金を出す」「汗をかく」の4つができるだろう。自分の時間を割いて汗をかくのが難しくても、できることはたくさんある。令和の時代、子どもの貧困に不感症であることは許されない。

[日経MJ2020年2月7日付]

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