サッポロ「黒ラベル」にAR広告 「20歳の自分へ」訴求
戦略ネットBiz

2020/1/29付
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NIKKEI MJ

サッポロビールは主力ブランド「黒ラベル」で、拡張現実(AR)を活用した広告を展開している。スマートフォンのARカメラ機能で缶や広告に描いた「☆」を読み取ると、サッカー女子日本代表でキャプテンを務めた澤穂希さんら6人のメッセージが、現実の様子を背景に浮かび上がる。スマホだからこそメッセージが個人に刺さると期待し、ブランドの浸透を図る。どの「☆」を読み取ったかを分析し販促にも生かす。

渋谷駅地下に「20歳の自分へ」をテーマに6人の著名人がコメントを寄せた

渋谷駅地下に「20歳の自分へ」をテーマに6人の著名人がコメントを寄せた

まず、ARカメラ機能のQRコードをサッポロの自社ブログなどからスマホのカメラで読み込む。その上で様々な場所にある黒ラベルの「☆」を読み取ると、「20歳の自分へ」と題した熱いメッセージが画面に約1分間流れる。

澤さんは「アメリカに勝ちたくて彼女たちと同じリーグで切磋琢磨(せっさたくま)するために渡米した私の20歳の"決断と覚悟"に感謝」。ダンサーの菅原小春さん、落語家の立川志らくさん、プロボクシング元世界チャンピオンの辰吉丈一郎さんに加え、マンガ「宇宙兄弟」の主人公2人のコメントも流れる。1月末まで実施する。

東京・渋谷駅の地下通路で1月上旬に掲示した壁面広告を、スマホ向けに編集した。テレビCM「大人エレベーター」と同じBGMを流し、「黒ラベル」ブランドを消費者により印象づける。

なぜARを使うのか。マーケティング開発部の福吉敬シニアメディアプランニングマネージャーは「より身近に、より自分のこととして捉えやすくなる」と狙いを話す。幅広く認知されるテレビCMとは対照的に、目の前の現実にメッセージが重なるARは一人ひとりの消費者に深く刻まれやすいという。スマホの視聴時間が伸び、テレビだけではすべての年代・性別に届かなくなっている。

ARカメラで「☆」を読み取ると著名人のメッセージが読める仕組みを、大手通信会社と考案した

ARカメラで「☆」を読み取ると著名人のメッセージが読める仕組みを、大手通信会社と考案した

ARを通じて、「どうやってたどり着いたか」「どの曜日、時間帯にどれだけの人が見たか」なども解析する。缶ビールなら家庭で飲みながら興味を持ったことが分かり、瓶ビールなら飲食店での告知が効いたと分かる。渋谷駅の広告の成果も分析できる。

約10年前に始めたCM「大人エレベーター」は、第一線で活躍する著名人が語る言葉から、消費者が何かを感じ取ってもらうことが狙いだ。高島英也社長は「黒ラベルは憧れの大人が飲む生ビールという思いや価値を込めたブランドだ」と説明。CMを通じて「大人の語る本音や、リアルな表情が若者の共感を呼んでいる」と語る。

今回のAR広告は、著名人が20歳を振り返ることを通じて、大人が昔を思い出したり、新成人が今を考える機会にしたりする狙いがある。新年の抱負や目標を立てたり、成人式などで自分を見つめ直す機会が訪れる1月にタイミングを合わせた。

企業ブランドである北極星のマークは、創業当時から「開拓者精神」を表すものとして使用している。冠でもある「☆」をARに活用する効果がどこまであったか。結果をもとに、販促やブランド戦略で今後の展開を探る。

(後藤健)

[日経MJ2020年1月29日付]

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