春秋

2020/1/27付
保存
共有
印刷
その他

志賀直哉の「灰色の月」の結びはこうだ。「昭和二十年十月十六日の事である」。この夜、作家は山手線で上体を前後に揺らす妙な動作の少年と乗り合わせる。会話はできるが、ひどい栄養不足で死期が近いようだ。周囲も状況を察し、なすすべなく押し黙るのだった。

▼前日15日には時の大蔵大臣、渋沢敬三が「来年度は餓死者と病死者が1千万人に上る」と見通しを語っている。この年、戦争による荒廃と肥料不足に天候不順も重なって…

保存
共有
印刷
その他

関連キーワード

電子版トップ



[PR]