春秋

2020/1/21付
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動物学者の今泉忠明さんが監修した「わけあって絶滅しました。」は、絶滅した動物たち本人がその訳を明かすユーモラスな本だ。たとえば霊長類のギガントピテクス。プライドを捨ててササをエサとし生き残りをはかったのに、パンダの登場であっけなく姿を消した。

▼内容こそ哀愁ただようが、語り口は軽快でノリがいい。「周りの動物も『え、姉さんササに手ぇ出しちゃったんすか(笑)』って思ってたはず。それくらいササは栄養がなくて、だれも食べなかった。それでもあたしは食べた」。なのに……とラップ調や関西弁などで恨みつらみを並べ悔しがったりため息をついたりする。

▼いまその声が聞けるなら、彼らは何を言うだろう。収まらない火勢に途方にくれているだろうオーストラリアの動物である。異常気象で史上最も暑く乾燥した昨秋から森林火災が激化。消防士ら20人以上が亡くなり、北海道を上回る面積が焼失した。途方もない数の動物も火にのまれて、種の絶滅を危惧する専門家もいる。

▼地球上の生き物は自然淘汰により多様性をはぐくんだ。資源に限りがある以上、私たちはイスとりゲームのように生存の場を競い合うしかないと今泉さんは記す。とはいえ圧倒的な力で生態系の頂点にたつヒトである。「このうらみ……、忘れませんわよ!」と仲間の反撃を食らわぬよう地球環境の未来に責任を持たねば。

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