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春秋

世間を騒がせるニュースや風評もやがて鎮火する。「人の噂も七十五日」とはよく言ったものだ。江戸時代の為永春水の人情本や、河竹黙阿弥の歌舞伎にも、このセリフが登場する。噂話が大好きで物見高い半面、飽きっぽい江戸っ子の気風をあらわす慣用語であろう。

▼この夫婦が仲よく雲隠れしてから2カ月あまり。およそ75日後の強制捜査である。広島地検は昨日、河井克行前法相と妻の案里参院議員の広島市の事務所などを捜索した。案里氏の陣営が昨年7月の参院選で、運動員に法定上限を超える報酬を支払った疑いが浮上し、市民が公職選挙法違反(買収)で地検に告発していた。

▼克行氏は、週刊誌が疑惑を報じた直後の昨年10月31日に法相を辞任。「私も妻も全くあずかり知らない。今後、しっかりと調査して説明責任を果たしてまいりたい」と述べていたはず。自民党の先達に倣ったのか。その後、夫妻は公の場から姿を消していた。ほとぼりが冷めるまで、だんまりを決め込むつもりだったのか。

▼年も改まり、忘却のかなたに――。と期待していたとすれば、なんとも不穏な検察の強制捜査であろう。政権トップは「任命責任を痛感する」「説明責任を果たす必要がある」と壊れたレコーダーのよう。夫妻は昨日、深夜に会見して「捜査にしっかり協力する」と繰り返した。その言葉は、有権者の心に響いただろうか。

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