大企業と提携した意義
新風シリコンバレー SOZOベンチャーズ創業者 フィル・ウィックハム氏

2020/1/14付
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SOMPOホールディングスと弊社の投資先であるパランティア・テクノロジーの日本における共同会社設立が2019年11月に発表された。パランティアはビッグデータの解析の世界最大手。同社の技術は、米国政府をはじめとする政府機関、主要金融機関、物流企業が利用しており、シリコンバレーで最も注目されている企業の1つだ。

ベンチャーキャピタリスト教育機関のカウフマンフェローズの会長。データ解析やフィンテック、クラウドなどのIT(情報技術)のスタートアップに投資するSOZOベンチャーズを2011年に設立。

ベンチャーキャピタリスト教育機関のカウフマンフェローズの会長。データ解析やフィンテック、クラウドなどのIT(情報技術)のスタートアップに投資するSOZOベンチャーズを2011年に設立。

クレディスイスやエアバスといった企業がパランティアの技術を使い大きな業務変革をしている。また同社は、ペイパルの創業者で、テスラやスペースXなどへの投資でも知られるピーター・ティール氏が会長を務めていることでも知られている。新設する共同会社では今後、パランティアの技術を使い日本でのデータ解析サービスを展開する。資本金も1億ドル(約108億円)と巨額だ。

シリコンバレーの著名なユニコーン企業は、なぜ今回のような日本の大企業と提携したのか。ティール氏がこの取り組みに関して強調しているのが、パランティアが目指す姿がSOMPOのような業界のメインストリームプレーヤーの変革を支援することにあるとしている点にある。

ベンチャーは独自の成長や海外展開を目指し、既存の大企業と対立すると思われがちだが、真にインパクトがあるイノベーションの実現には中核の役割を担っているプレーヤーとの連携が不可欠と考えている点は非常に興味深い。今回の提携はSOMPOがパランティアの技術を独占することを目指すのではなく、日米の共同体として1千億円を超えるビジネスを作り出し、広く同社の技術を日本の産業界の次世代インフラとして提供することを目指すという高い視野に立ったものである。

このような提携こそが、真の革新的なベンチャーが実現したい理想的な協業であると言える。また、日本という市場がまだまだ魅力のある市場であるということを再認識できた点も誇らしく感じる。

実際、SOMPOとパランティアの協業のような大型のビジネスは一朝一夕につくれるものではない。弊社は当初からパランティアの日本展開を支援してきており、日本参入からすでに6年以上経過している。パランティアは、日本で一定規模の実績も創りながら、地道に時間をかけて今回の提携も進めてきた。こうした提携の趣旨や意義をきちんと説明する重要性から、シリコンバレーよりピーター・ティール本人も緊急来日し、SOMPOホールディングスのトップと記者会見を直接行った。

両社の公式なプレスリリースで弊社と私のパートナーである中村幸一郎氏の名前が挙げられて今回のパートナーシップ実現への尽力への感謝が示されていた。このような言及は通常、黒子のベンチャーキャピタリストにとっては極めて異例であるが、両社から認められる役割をしっかり果たせた証拠なのではないかと思う。ベンチャーキャピタリストとしても、このような社会的にインパクトがある提携を支援できることは理想的な仕事と言える。

[日経産業新聞2020年1月14日付]

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