伊集院静「ミチクサ先生」(122)

伊集院静「ミチクサ先生」
2020/1/14付
情報元
日本経済新聞 朝刊
共有
その他

人影は金之助だった。

――金之助君。

と声をかけようとしたが、その背中はあまりに淋(さび)しそうで、声をかけるのさえためらわれた。

数歩近づくと、金之助の肩が小刻みに震えているのがわかった。

鳴咽(おえつ)しているのだ。

その姿を見て、子規は自分までもが泣いてしまいそうになった。

「金之助君」

子規は畏友の名前を呼んだ。

金之助は振りむかなかった。

「金之助君、大丈夫ぞな?」

金之助はうなずき、ズボン…

日経電子版が最長2月末まで無料!
初割は1/24締切!無料期間中の解約OK!

[有料会員限定] この記事は会員限定です。電子版に登録すると続きをお読みいただけます。

電子版トップ



[PR]