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身体拡張の時代へ 運動能力 年取るほど高まる!?

奔流eビジネス (D4DR社長 藤元健太郎氏)

NIKKEI MJ

年が明けると2020年代に突入し、これまでと異なる概念が色々と出てくるだろう。注目のキーワードのひとつが「身体拡張」だ。人類は入れ歯やかつらやメガネなど自らの身体を人工的に拡張するデバイスをいくつも発明してきた。パソコンやスマートフォンだって人間の記憶や思考の拡張とも言えるだろう。20年代はテクノロジーによって自分の身体そのものを拡張する流れが一気に拡大すると予想される。

例えば花王パナソニックと共同で「バイオミメシスヴェール」を開発した。ポリマー溶液を吹き付けて作る人工皮膚だ。まずは睡眠中の保湿用として販売する。

活用の可能性はとても大きい。シミやあざを隠すなどファンデーションの代わりになれば、化粧品の代替として女性は毎日美しい人工の肌を身にまとうかもしれない。男性だってこれからの日焼けは褐色の肌を吹き付けるだけになるかもしれない。スキンケアの概念が大きく変わる可能性を秘めている。火傷など肌の治療として医療で広がることも期待されている。

爪にICチップを付ける技術もすでに登場している。スマホやICカードを持たなくても、ネイルを改札機にタッチすれば電車に乗れ、コンビニエンスストアで商品も買える。スウェーデンでは一歩進み、身体にマイクロチップを埋め込んで乗車券代わりや入退室管理に使っている。

顔認証も進むが、簡単に変えるのが難しい顔そのものより、取り外しできたり自由に拡張できたりする方が、管理されている抵抗感が少ないのかもしれない。

身体に装着するパワードスーツも低価格になり、普及期に入りつつある。重たい荷物を持ち上げるなど作業者を支援する用途が多いが、今後は歩行を楽にするなどハンディキャッパーや高齢者の日常生活をアシストするとも期待されている。パワードスーツを着た人が街を歩く風景も珍しくなくなるかもしれない。

来年はパラリンピックが開催される。走り幅跳びではすでに五輪の健常者を超える記録がでている。義足の反発力がより高性能になり、健常者を超えるパワーをテクノロジーによって手に入れ始めていると言える。

世界記録はパラリンピックが五輪をどんどん上回ることが今後は増えるかもしれない。サイバスロンという国際大会がスイスなどで開催されていて、ハンディキャッパーのアスリートと技術者のチームが、共同で開発した義手や車椅子、ヘッドギアなどを使って競っている。競争を促すことで技術開発が進化するという大会の意義も含め、注目度が高まっている。

中高年になれば身体は衰えるのが当たり前だった。しかし、身体をテクノロジーで武装することで性能が毎年向上し、バージョンアップするたびに身体能力が高まる新しい時代を迎えるかもしれない。

「五体不満足」の著者として知られる乙武洋匡氏が義足と義手をつけて歩行するプロジェクトが進んでいる。歩行はようやくという段階だが、我々が追いつかないスピードで彼が走る日は、そう遠くないのかもしれない。

[日経MJ2019年12月27日付]

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