小米、スマホも炊飯器も 協力企業操縦に技あり
先読みウェブワールド (山田剛良氏)

2019/12/16付
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NIKKEI MJ

スマートフォン出荷台数世界4位の中国・小米(シャオミ)がついに日本進出を果たす。スマートフォンを皮切りにスマホと連動するスマート活動量計やIoT炊飯器、モバイルバッテリーに旅行用スーツケースの5製品を年内に発売する。スマホ大手として知られるが、奇妙な日本進出ラインアップを見て気づくようにその素顔は少し異なる。

中国・深圳にある小米の大型店。アップルストアのような内装で様々な商品が並ぶ

中国・深圳にある小米の大型店。アップルストアのような内装で様々な商品が並ぶ

価格は5万2800円――。東アジア担当ゼネラル・マネージャーのスティーブン・ワン氏がそう告げると記者席からどよめきと拍手が巻き起こる。9日に開いた記者会見での1コマだ。

日本進出第1弾の「Mi Note 10」は、業界最高の1億800万画素の超高精細広角カメラを含む5眼カメラや6.47インチの大型有機ELディスプレーを備える。ライバルの10万円クラスの上位機種を超える機能を備えつつ、中位クラスの価格に抑えた。

「中国の有名スマホブランドの中で一番安いのが小米。同じ性能なら最も安価」(中国・深圳の日本企業で働く中国人社員)という中国でのイメージをそのまま日本に持ち込んだ形だ。

小米が手掛ける品は実は幅広い。売上高に占めるスマホの割合は65%。IoT家電と生活雑貨事業が26%、インターネットサービスが9%だ(2018年の年次報告書)。小米の中国の通販サイトをのぞくと、デジタル家電だけでなく、浄水器や洗濯機などの生活家電、電動スクーターにスマート体重計、果てはバックパックやサングラスまで見つかる。

総数は7千アイテム。しかし「自社開発はスマホ、テレビ、ルーターのみ」とワン氏は日経クロステックの独自インタビューで明かした。その他の製品は280社以上の協力企業が開発・生産する。小米は「エコシステム」と呼び、多くは小米が投資するハードウエアスタートアップだ。

やまだ・たけよし 東工大工卒、同大院修士課程修了。92年日経BP社に入社、「日経エレクトロニクス」など技術系専門誌の記者、日本経済新聞記者を経て16年から日経テクノロジー・オンライン(現・日経 xTECH)副編集長。17年10月から日経ものづくり編集長も兼任。京都府出身

やまだ・たけよし 東工大工卒、同大院修士課程修了。92年日経BP社に入社、「日経エレクトロニクス」など技術系専門誌の記者、日本経済新聞記者を経て16年から日経テクノロジー・オンライン(現・日経 xTECH)副編集長。17年10月から日経ものづくり編集長も兼任。京都府出身

小米は協力企業を「1社1製品群の原則」(ワン氏)で運営する。ある企業が小米ブランドで勝負できるのは1製品のみ。この結果、協力企業はその品を必死に造る。機能や品質だけでなく開発速度を上げる効果もあり、「(企画から)半年~1年で新製品投入」(ワン氏)というスピード感も手に入れる。

協力企業操縦のすごみは「シャオミホワイト」と呼ぶ独特の白色に現れている。「全くブレがない」と話すのはスマホケースなどで中国製造の経験があるトーモ(東京・港)の東智美社長。白は様々な色味があり、複数の製造企業に発注する場合、管理がいちばん難しい色だという。

東氏は2年ほど前に小米のファンとなり、中国出張のたびに深圳にある旗艦店で様々な製品を購入してきた。「気が利いてておしゃれで安い。はやりものをすぐ商品化するスピード感もすごい。本格的に日本に来たらIoT家電を作っている小さなスタートアップはみんな駆逐されるのではないか」と危惧する。

創業から約10年で売上高2兆7千億円に成長した小米。ビジネスモデルは製造業より大手スーパーのPB商品事業に近いように見える。エコシステムを拡張し、デザインとテクノロジーで武装した次世代の製造業。それが本当の姿ではないだろうか。

[日経MJ2019年12月16日付]

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