今年何回挑戦できたか
SmartTimes WAmazing代表取締役社長CEO 加藤史子氏

コラム(ビジネス)
2019/12/13付
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「トップレベルのビジネスパーソンであり続けるためには、定期的に自らを振り返り、次に向けた改善点を洗い出すこと」。こんなP・F・ドラッカーの言葉を借りるまでもなく、振り返りの重要性は多くのビジネスパーソンが認識しているだろう。

慶応大卒、1998年リクルート入社。ネットの新規事業開発を担当した後「じゃらんリサーチセンター」に異動し、観光による地域活性化事業を展開。2016年WAmazing創業。

慶応大卒、1998年リクルート入社。ネットの新規事業開発を担当した後「じゃらんリサーチセンター」に異動し、観光による地域活性化事業を展開。2016年WAmazing創業。

まもなく今年も終わる。皆さんは1年の振り返りをするのだろうか。もし、する場合は何か手法を決めたほうがやりやすいかもしれない。例えば「KPT」という手法は良かったこと(キープ)、改善が必要なこと(プロブレム)、次に取り組むこと(トライ)の頭文字を取っている。

さらに「A」を加えたバージョンもある。Aは行動(アクション)で、次に取り組むこと(トライ)が抽象的なままで終わってしまわないよう具体的な行動プランに落とし込むというものだ。もちろん、ビジネスの場面ではすっかりおなじみの「PDCA」でもいい。計画、行動と結果、評価、改善のサイクルを回していこうというものだ。

私が取り組むスタートアップと呼ばれる企業経営でも、PDCAサイクルは欠かせない。世に出したサービスが最初からホームランになることが、残念ながらあまりないからだ。

さらに言えば、事業が会社運営に必要な経費をまかなうほどの売り上げと利益を上げるまでは資本を食いつぶすことになるから、時間も限られている。限られた時間の中で何回PDCAサイクルを回せるのか。言い換えればどれだけ挑戦できるか、打席に立てるかがスタートアップの勝敗を決めるといってもいい。

つまり1回のサイクルは短いほうがいい。膨大な時間とコストをかけて作った商品やサービスに顧客が反応しなければやり直すしかないが、そのときには挑戦する時間とお金が残されていない、という事態を避ける必要があるからだ。

こうして最小限のお金とコストで検証をするわけだが、そのための商品やサービスをMVP(ミニマム・バイアブル・プロダクト)という。ミニマムはわかりやすいが、ポイントとなるのは「存立できる、実行可能な」という意味の英語であるバイアブルだ。

作ろうとしている最終形が自動車だとした場合、MVPとして自動車の革張りシートだけ作ってもバイアブルではない。立派な車輪だけでも検証できない。「移動できる」という価値を提供するには、簡素な車輪の上に板を乗せただけのスケートボードを作ったほうがMVPに近い。

MVP戦略は、できるだけ短期間でシンプルな製品を市場に投入して製品の実現可能性を検証し、顧客のフィードバックを集めて改善するという行為を繰り返す顧客中心のデザインだ。この1年で、繰り返しが何回できたのか。価値ある挑戦が何回できたのかということが、私にとって振り返りの指標になりそうだ。

[日経産業新聞2019年12月13日付]

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