ネット通販 店でドライブスルー、降りずに受け取り便利
奔流eビジネス (スクラムベンチャーズ マーケティングVP 三浦茜氏)

コラム(ビジネス)
2019/12/13付
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NIKKEI MJ

米国は11月末のブラックフライデーで例年通り大規模なセールが行われた。今年は面白い数字があった。オンラインで購入後に店舗で商品を受け取る金額が前年より43%増えたのだ(Adobe Analytics)。実店舗は買い物の場所ではなく、商品をピックアップしに来る場所になりつつある。

ブラックフライデーにはサンタクロースがターゲットの荷物引き取り場所「ドライブアップ」でスマホを確認する演出も=AP

ブラックフライデーにはサンタクロースがターゲットの荷物引き取り場所「ドライブアップ」でスマホを確認する演出も=AP

ネットで注文したものを店舗で受け取る。日本でもユニクロなどが提供しており、送料もかからず便利だ。米国では店の前にある駐車場で受け取れる小売店が増えている。

家電量販店のベストバイ、大型スーパーのウォルマートやターゲット、ホールフーズなどが対応している。店舗内での受け取りと分けて、「ドライブアップ」や「カーブサイド」と呼ばれる。ブラックフライデーの数字は駐車場での受け取りも含んでいる。筆者も体験し、想像以上の便利さを感じた。

インスタントポットという調理器具を買おうとサイトを比較すると、ターゲットが最も安い。アプリで商品を注文すると、混んでいる時期でもあり商品の到着に1週間以上かかることがわかった。2日で届くアマゾンと迷っていると、近くのターゲットの店舗に在庫がありドライブアップのボタンが表示されていることに気づいた。

ドライブアップを選ぶと、商品の用意ができたとのメールが数分後に届いた。早い。全地球測位システム(GPS)をオンにして車種をアプリで伝える。駐車場に着くとGPS情報から店舗側が到着を察知したようで、アプリの表示が変わった。

ドライブアップと書かれた場所に駐車すると、1分足らずで店員が商品を持ってきてトランクに入れた。あとは車で去るのみ。拍子抜けするほど簡単だった。注文から30分ほどで受け取りが完了した。

みうら・あかね 上智大学卒。サンフランシスコ在住。米国でアーリーステージのスタートアップ投資を行うスクラム・ベンチャーズ マーケティングVP。

みうら・あかね 上智大学卒。サンフランシスコ在住。米国でアーリーステージのスタートアップ投資を行うスクラム・ベンチャーズ マーケティングVP。

ドライブアップの利点は郵送より早く受け取れることだけではない。子連れなら子どもを降ろす必要がないし、入店して無駄なものを買うことがない。雨の日に荷物を持って移動する必要もない。自分のタイミングで取りに行けるのは郵送とはまた違った便利さがある。会社帰りに注文すれば、生鮮食料品を駐車場でピックアップできる。

いわゆるドライブスルーだが、店舗側は設備投資が少なくて済む。注文はスマホのアプリから、そして駐車場の一角がドライブアップ用のスペースになる。注文を受ける窓口や受取窓口を新たに作らなくてよいので店舗側も導入しやすいのだろう。

2018年に楽天が買収したカーブサイドというスタートアップは、あらゆる店舗にこのソリューションを提供している。買収後は「Rakuten Ready」というサービス名に変更。ドライブアップだけでなく店舗内でのピックアップの仕組みも導入できる。ピザハットやチポレ、チックフィレイといったファストフード店、百貨店のノードストローム、スーパーのクローガーなどが採用している。

店舗の一歩手前の駐車場での受け取り。最初に聞いた時は正直なところ「そんなに意味あるかな?」と思った。しかしその小さな一手間が、顧客体験を劇的に改善するのだと感じた。

[日経MJ2019年12月13日付]

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