春秋

2019/12/8付
保存
共有
印刷
その他

「手りゅう弾」と聞けば、頭に浮かぶイメージは、どこか海外の戦場だろうか。だがこの軍隊の武器が日本の街なかで、しかも一般の市民に向かって使われたことがある。北九州市で2003年、暴力団の排除に取り組む店に投げ込まれ、従業員11人が重軽傷を負った。

▼北九州ではその後も、企業幹部の自宅が手りゅう弾で狙われるといった事件が相次ぐ。福岡県警が「発見したら踏んだり、触ったり、蹴飛ばしたりしない」と注意を呼び掛ける異常な事態となった。住宅街の倉庫からはロケットランチャーも見つかる。警察が反転攻勢に出て、組トップらを逮捕するまで長い時間を要した。

▼同じような驚きを覚える。暴力団山口組の分裂をめぐり、兵庫県尼崎市で一方の組関係者が別の組の幹部を殺害した。使われたのは、これまた軍用の自動小銃だ。殺傷力は拳銃の比ではない。事件の現場はたまたま路上だったが、当初は店の中で襲う計画だったという。抗争が続けば、市民が巻き込まれる可能性が高まる。

▼警察による銃器の押収は減少傾向が続く。それでも、あるところにはあるということか。抗争の封じ込めはもちろん、武器の摘発を進めて入手経路を解明してもらわねば。「日本で一番多くの武器を持つのは自衛隊で、次は警察。そして3番目が山口組」。これは警察関係者に聞いたブラックジョーク。まったく笑えない。

保存
共有
印刷
その他

関連キーワード

電子版トップ



[PR]